子どもがつま先立ちで歩くのはなぜ?発達障害の症状ってホント?
子どもがつま先立ちをするんですが、自閉症スペクトラムでしょうか?と聞かれたことがあります。
本やインターネットで、つま先歩きは自閉症スペクトラム(ASD)の症状の一つとして紹介されている場合もあり、心配になってしまいますよね。
このページでは、子どもがつま先立ちをする理由について紹介していきます。
つま先立ちは必ずしも発達障害の症状とは言えません
結論から言うと、「つま先立ち」はどんな子どももすることがあります。
つま先立ちをするからといって、発達障害や自閉症スペクトラム(ASD)であるとは言えません。
しかし、つま先立ちの頻度がとても高い場合や、つま先で歩く「つま先歩き(尖足歩行)」をしている場合、何らかの原因がある場合もあります。
子どもがつま先歩きをする理由を3つ紹介
それでは、子どもがつま先立ちやつま先歩きをする理由とは何でしょうか?
実際のところはその子どもになってみないと分からないのですが、客観的に考えられる理由を3つ挙げてみました。
- 脳の障害や麻痺などがあり、筋緊張に異常がある場合
- 感覚刺激に対する過敏さや鈍感さがある場合
- 脳の目覚めの状態をコントロールするために行っている場合
これだけでは想像しにくいと思いますので、一つずつ見ていきましょう。
脳の障害や麻痺などがあり、筋緊張に異常がある場合
脳に何らかの障害があったり、脳性麻痺などがあると、筋肉の緊張が強くなることがあります。
足の筋肉の緊張が常に強い状態になると、歩くときにも足首の関節が伸びて曲がらなくなり、つま先立ちやつま先歩きの状態になります。
脳性麻痺の子どもの場合は、手足が動かないのではなく、努力してもうまく動かせないという状態です。また、硬直している場合無理やり動かすと痛みを伴う場合もありますので注意が必要です。
幼い時からつま先立ちの状態が続くと関節の変形が起こる可能性もあるため、小児科で適切な治療やリハビリについて相談するようにしてください。
感覚刺激に対する過敏さや鈍感さがある場合
人間は常にいろいろな感覚を取り入れて生活しています。
いろいろな感覚とは、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚・平衡感覚・固有覚の7つです。
※固有覚とは、筋肉や関節の力の入れ具合など、皮膚よりも深部の感覚のことです。
これらの感覚は常に体が受け取っているのですが、その全てを常に実際に感じているわけではありません。
例えばこれを読んでいるみなさんは視覚を活用していますが、手足の感覚に注意はそれほど向いていないはずですよね(今注意が向いたかもしれません)。
このように常に受け取っているたくさんの感覚を脳でまとめてコントロールすることを感覚統合と呼びます。
この感覚統合の能力のアンバランスさがあると、感覚が過敏になったり、鈍感になったりします。
足の裏の感覚が過敏すぎる子どもは、床に足をつけることで苦痛や痛み、気持ち悪さを感じているかもしれません。
逆に全体的に感覚の鈍感さのある子どもは、感じにくい感覚をうまく感じられるように、つま先立ちをして自分で自分に刺激を与えたりしています(自己刺激)。
脳の目覚めの状態をコントロールするために行っている場合
脳の目覚めの状態(覚醒レベル)をコントロールすることが自然にできない子どももいます。
覚醒レベルの低い子どもは、昼間でもぼんやりして見えたり、動作がゆっくりしていたりします。
睡眠と目覚めのリズムに乱れがあると、夜眠れないことが多くなったり、昼間眠くなったりします。
大人でも眠いけれど起きなければいけない時、自分をつねって刺激を与えたりストレッチをしたりしますよね。
覚醒レベルの低い子どもは、脳を目覚めさせるためにつま先立ちやつま先歩きを行うことがあります。
つま先立ちをするとバランスを取ろうとして前庭感覚を刺激するので、脳が目覚めやすくなります。
つま先立ちには矯正ではなく感覚あそびを!
つま先立ちの症状だけでは、発達障害や自閉症スペクトラムであるとは言えません。
しかし、つま先歩きを常にしている、といった場合、今回紹介したような理由が隠れている場合もあります。
ずっとつま先歩きをしていると、足首やかかとの筋肉の発達に影響が出る場合もあります。
それでは、どうすれば良いのでしょうか?
つま先歩きをしていて感覚統合の問題がある場合、感覚あそびがとても有効になります。
具体的には、ふわふわのクッションの上を足の裏全体を使って歩いたり、トランポリンや縄跳び、キッズヨガなどが良いですね。
もし感覚過敏があると苦痛を伴うこともあるので、無理な矯正はしないようにしましょう。
まとめ
- つま先歩きをしているからといって、必ずしも発達障害や自閉症スペクトラムであるとは言えない
- つま先歩きをする理由には、筋緊張に異常がある場合と、筋緊張に異常はない場合がある
- 筋緊張に異常がない場合、感覚統合の問題や、覚醒レベルの問題の可能性がある
- 感覚統合の問題がある場合、感覚を活用した遊びを多く実施することが効果的
KIZUKIでは言語聴覚士による発達支援を行っています
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