発語のない子にも!話しことばにつながる”サインドスピーチ”について紹介
サインドスピーチとは、サイン(身振り)で意思を伝えたり、サインを刺激として発話やコミュニケーション行動を促す方法です。
手話のようにサインでやりとりすること自体が最終目的ではなく、サインを用いてやりとりを重ねることにより、コミュニケーション行動を増やすことを一番の目的としています。
サインドスピーチを取り入れて、結果的に発語が増えたという例もあります。
今回は、自閉症スペクトラムや知的障害のある子、発語のない子にも行うことのできる、サインドスピーチについて紹介します。
コミュニケーション手段は話しことばだけではない
子どもは周囲の大人のことばを聞きながら、徐々にお話できるようになっていきます。
しかし、なかには自然にことばを話せるようにならない子もいますよね。
コミュニケーション手段には、音声による話しことばの他に、書きことば(文字)や、ジェスチャー、手話、そしてサインなど、様々な方法があります。
ことばはコミュニケーション手段のうちのひとつにすぎません。
その人にとって最適な方法で、自分の意思が伝えられてやりとりができるということが大切です。
サインドスピーチはやりとりにも使えて発語にもつながる
サインドスピーチを使う目的は3つあります
- 話しことばの代わりのコミュニケーション手段として用いる
- サインを使って人とのやりとりを重ねることにより、社会性を育みコミュニケーション行動を増やす
- サインと同時に音声を聞かせることにより、徐々に話しことばへと移行させる
サイン(身振り)を使うことにより、発語(話しことば)がなくても、自分の意思や要求を伝えることができるようになります。
サインでやりとりができるようになると、周囲への興味や社会性が育まれ、コミュニケーション行動が増えていきます。
さらに、サインドスピーチでは、サインだけではなく同時に音声を使用するため、発語へと移行できることも多いです。
話しことばの代わりのコミュニケーション手段としてサインを使うこと自体が目的ではありません。
サインドスピーチでやりとりを重ねることにより、コミュニケーション行動を増やしたり、発語へとつなげることを目的としています。
サインドスピーチは発語の妨げにならないの?
サインを導入することを提案すると、ますますことばが遅れるのではと心配されることがあります。
この子は一生サインなのですか?と聞かれたこともあります。
そのようなことはありません。
サインドスピーチが発語を妨げることはなく、むしろ多くの子どもは徐々にサインに発声をつけることができるようになります。
サインのみのやりとりから、サイン+音声でのやりとりになり、発語につながった例も多くあります。
サインドスピーチを導入したKIZUKIのセラピー方法
実際にどのようにサインドスピーチを実践しているのか、KIZUKIで行っているセラピー方法を紹介します。
ステップ1 大人がサインドスピーチを使用しながら子どもと関わる
いきなり子どもにサインをさせようとするのではなく、まずは大人がサインドスピーチ(サイン+音声)を使ってみせます。
同時に音声を使用することにより、のちに発語へとつなげやすくなります。
ステップ2 要求のためのサインを子どもに教える
自由あそびや興味のあるあそびの中で、まずは要求のために必要なサインから導入します。
動作模倣が難しい場合は、子どもの手をとって動かし方を教えます。
一気にたくさん教えるのではなく、3〜5つのサインを使えるようになることを目指します。
大人はサイン+音声で接してきましたが、子どもはサインだけ使用できればOKです。
ステップ3 子どもが自発的にサインを行えるように促す
子どもがサインを使って自発的に要求できるようにあそびの中で促します。
サインを使用できるあそび場面の設定が大切になります。
ここでも、子どもは音声を伴わなくてもOKです。
ステップ4 使用できるサインを増やす
子どもの興味のあるものや、日常で使うことばを中心に、サインを増やしていく。
サインが日常生活でも使えるようになったら、次はどんどんサインの数を増やしていきます。
使えるサインが増えれば、生活の中でのコミュニケーションもとりやすくなってきます。
ステップ5 サインと共に音声を促して発語につなげる
自発的にサインが使えるようになったら、次は1音でもいいので発声を伴えるようにしていきます。
発音は正確ではなくてもOKです。
この時、同時並行して音声模倣の練習をすることもあります。
※子どもによって、サインではなく文字や絵カードで行う場合もあります。
終わりに
今回の記事では、発語のない子にも実施できるサインドスピーチについて紹介しました。
とても効果のある方法ですが、実際に行うには少しコツがいるかもしれません。
KIZUKIでは発語のないお子さまに対する支援や、言語聴覚士によるサインドスピーチを取り入れたセラピーも実施していますので、どうぞお気軽にご相談くださいね。
まとめ
- サインドスピーチは、サイン+音声を使ったコミュニケーション手段
- 話しことばにこだわらず意思や要求を伝える手段を作ることでコミュニケーション行動が増える
- サインドスピーチを取り入れても発語が妨げられることはない
- サインドスピーチでやりとりを重ねることにより発語にもつながった例も多くある