小学校でつまづく原因は、ことばの理解や表現力などことばの発達の遅れにあるかも

2019年11月26日

小学校に入ると、国語の授業だけではなく、様々な授業や活動でことばの理解力や表現力が求められます。

お友だちとの関わりでもそうです。子ども同士のやりとりもことばによって行われ、言語スキルは勉強のみではなく、コミュニケーションや人間関係にも影響します。

子どもが小学校の授業や生活で困難さやつまづきを感じてしまう原因は、もしかしたら「ことばの遅れ」にあるかもしれません。

今回の記事では小学校低学年~中学年で子どもがつまづきやすい原因の一つである、言語スキルの大切さと支援方法について言語聴覚士が紹介していきます。

小学校に入るとあらゆる場面で言語スキルが求められる

子どもは体や心、社会性の発達を土台として、ことばを育んでいきます。

小学校に入る前の5〜6歳には、ある程度日本語の文法を理解したり、言葉を使って説明したりできるようになっていきます。

さらに、小学校に入ると、次のような場面で言語スキルが必要になります。

  • 授業で先生の話を聞いて理解する
  • 先生が黒板に書いた文字を見て理解する
  • 教科書など文章を読んで理解する
  • 学んだことをノートに文字で記録する
  • 授業で発表をしたり、発言をしたりする
  • クラブ活動などでのコミュニケーション
  • 友だち同士でのコミュニケーション

このように様々な場面でことばが必要になり、ことばの理解力や表現力など言語スキルの重要性が増していきます。

もし、ことばの理解力や表現力に文字の読み書きなどが苦手であると、勉強だけではなく、小学校生活や友だちとのコミュニケーションそのものに影響してしまう可能性があります。

お子さまにこのような様子はありませんか?

  • ことばで順序立てて説明するのが苦手
  • 読み間違いや書き間違いが多い
  • 授業についていけているか心配
  • 特定の授業(国語や算数など)が苦手
  • お友達とうまく遊べない
  • 小学校に行きたがらない、休みがち
  • 不登校になった

お子さまにこのような様子がある場合、様々な原因が考えられます。

考えられる可能性のひとつは言語スキルの発達が周囲に追いついていないということです。

例えば、長い文章を聞いて理解することが苦手だと、授業の理解も難しくなります。

自分の気持ちをことばで説明することが苦手だと、お友達とのコミュニケーションがうまくできない、という場合もあります。

※その他の原因がある場合もあります。

ことばの発達チェックと必要なサポートを!

KIZUKIでは、未就学児〜小学4年生頃の子どもを対象に言語検査とレッスンを実施しています。

まずは、言語聴覚士がお子さまの言語検査を行い、次のような能力についてチェックします。

言語検査といっても、絵本のような冊子をみながらお話したり、やりとりをするといった内容ですので、お子さまへの負担は大きくありません。

未就学児

  • ことばの理解(聞いて理解する力)
  • ことばの表出(ことばで伝える力)
  • コミュニケーション(ことばに限らないやりとりや社会性)
  • 質問-応答能力(質問に対して答えたり会話する力)
  • 語彙(知っていることばの量)
  • 構音(発音)

小学生

  • 文や文章の聴覚的理解(口頭指示の理解や説明文の理解など)
  • 語彙や定型句の知識(どのぐらいことばを知っているか)
  • 発話表現(状況に合わせてことばを使えるか、丁寧語など適切なことばを使えるか)
  • 柔軟性(関連することばを想起して言えるかなど)
  • リテラシー(音読や文章の読解)
  • 構音(発音)

これらについて、得意な分野と苦手な領域を分析して子ども一人ひとりのプロフィールを作成し、苦手な領域のレッスンを行います。

例えば、受動文(〜れる、られる)の理解や表出が苦手な子には、その文法を理解する練習をします。

語彙(知っていることばの数)の少なさが原因で理解力が低くなっている子には、語彙を増やす学習を行います。

ことばで説明することが苦手な子には、順序立てて分かりやすく相手に説明をする練習をします。

学習障害(LD)の可能性も

特定の授業への苦手さがある場合、学習障害(LD)が原因であることもあります。

学習障害とは、発達の遅れや知的な遅れがないのに、次の能力のうちひとつ以上をうまく使えない状態です。

  • 聞く
  • 話す
  • 読む
  • 書く
  • 計算する
  • 推論する

学習障害がある場合、本人の努力では改善が難しいこともあり、周囲の大人や専門家、学校のサポートが必要になります。

学習障害については、またいずれ詳しく紹介していきますね。

終わりに

今回は、小学校に入ってからの言語スキルの大切さについて紹介しました。

KIZUKIでは、国家資格・言語聴覚士による、個別のことばのレッスンを行なっています。

お子さまのことばやコミュニケーションについて気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。