自閉症スペクトラム(ASD)かもと思ったら?検査について詳しく紹介

2019年10月29日

自閉症や発達障害が心配になったら、どのような検査が必要なのでしょうか。

なかなかことばを話さなかったり、視線が合いにくかったりすると、本やインターネットには自閉症の症状の一つとして書いてあったりして、心配になってしまいますよね。

もし自閉症スペクトラムの傾向がある場合は、特に早期からの発達支援が必要と言われています。

今回は、自閉症スペクトラムの検査の種類について、言語聴覚士が詳しく紹介します。

自閉症スペクトラム(ASD)とは

まずは、自閉症スペクトラムについて紹介します。

少し前までは、自閉症やアスペルガー症候群などを含めて広汎性発達障害と呼んでいましたが、今は「自閉症スペクトラム(ASD)」という言い方が一般的になっています。

自閉症スペクトラムの子どもに多い特徴を5つ紹介します。

  • ことばの遅れ
  • 社会的コミュニケーションの問題
  • 興味が限定的・行動が反復的
  • 感覚入力の問題(感覚への過敏さ・鈍感さ)
  • 状態の変化に敏感で、感情が不安定になりやすい

その他にも、知的障害やADHDを合併していることもあります。

知的障害やADHDについては、また別の機会に紹介していきたいと思います。

自閉症スペクトラムの検査

自閉症スペクトラムの検査にはたくさんの種類があります。

検査の実施方法で分類すると次の4種類です。

  1. 簡易的なチェックリスト
  2. 保護者面接式評価
  3. 子ども実際に行う検査
  4. 子どもの行動観察からの評価

それでは、一つずつ見てみましょう。

簡易的なチェックリスト

アンケート形式で保護者の方にお子さまの様子についてチェックして頂く方法です。

自閉症スペクトラムの傾向があるかどうかは分かりますが、あくまで簡易的なものです。

これだけで自閉症スペクトラムかどうかを判断することはできません。

  • メリット:簡単に短時間で実施できる
  • 注意点:あくまで傾向がありそうかどうかを簡易的にチェックするためのもの

保護者面接式評価

たくさんの評価項目について、40分〜50分ほどかけて保護者様からお話を伺いながら評価する方法です。

この検査は、自閉症スペクトラム(ASD)について熟知した専門家が実施する必要があります。

  • メリット:日常での子どもの様子について一番近くで接している保護者から情報を得ることができる
  • 注意点:検査者が実際に目にしたわけではないので、保護者の評価に左右されることがある

子どもに実際に行う検査

パズルやつみき、絵カードなど様々な検査用具を使いながら、子どもに行う方法です。

実際の子どもの行動により評価することが可能です。

その時のお子さまの気分やコンディション、人や場所への不慣れによって左右されることもあるため注意が必要です。

  • メリット:検査者が子どもと接しながら課題に取り組む様子を観察し評価することができる
  • 注意点:その日の子どもの気分や体調、検査者の技術によって結果が左右されることがある

子どもの行動観察からの評価

子どもの自由遊びの観察や、人や物への反応を見て、専門家がじっくりと時間をかけて評価する方法です。

1回のセラピーでは評価不可能ですが、何度もセラピーを重ねる中で子どもの様子を観察しながら、より詳細に評価することができます。

  • メリット:検査者が子どもとの関係を築きながらじっくりと行動の評価をすることができるため信頼性が高い
  • 注意点:1〜2度のセラピー場面のみでの評価は難しく、長期的に子どもと接する中で評価をする必要があり時間を要する

KIZUKIで行うことのできる検査法

KIZUKIでは、1度の検査で子どもを判断することはしていません。

子どもに直接検査を実施することは、子どもへの負担が大きいわりに、その時の状況によっても左右されるため必ずしも正確とは言えません。

次のような手順で慎重にお子さま一人ひとりを評価していきます。

  1. 発達状況のチェックリストの実施
  2. 保護者面接式検査法
  3. セラピー時の子どもの行動観察から時間をかけてじっくり評価

※1〜2回のセラピーのみでの判断はできません

面接式検査法にはPARS-TRの基準を、行動観察にはCARSの基準を用いています。

PARS-TRを使って普段の様子を保護者さまからお聞きし、CARSを使ってお子さまの自然な遊び場面の観察を行います。

いずれも医療機関などで広く使われていて信頼性のある検査法です。

まとめ・終わりに

今回は、自閉症スペクトラムを診断するための検査について紹介しました。

ご紹介したような検査は、誰にでもすぐに行えるものではありません。

十分に知識と経験のある専門家が実施する必要があり、さらに専門医による診断が必要です。

医療機関を受診する場合、発達障害診療医師小児神経専門医のいる小児科を探して電話で確認し、予約をする必要があります。

KIZUKIは医療機関ではありませんので診断はできませんが、セラピーを実施するために必要な検査を行うことができます。

自閉症スペクトラムの傾向があるかどうかを知りたい場合や、その後の支援が必要な場合、どうぞお気軽にご相談くださいね。

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