子どもの感覚過敏への対応まとめ。聴覚過敏や視覚過敏、触覚過敏は治る?工夫が大切!
感覚過敏とは、特定の感覚に対して敏感すぎる状態のことを言います。
子どもに感覚過敏がある場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?
今回は子どもに感覚過敏がある場合の良い対応について具体的に紹介します。
感覚過敏とは?
感覚過敏とは、特定の感覚刺激に対して敏感に反応してしまう状態のことを言います。
日常生活の中で、私たちは様々な「感覚」を常に受け取り続けています。
感覚には、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚などがあります。
受け取った様々な感覚は脳で情報として処理することにより、感じ取ることができます。
この時の、様々な感覚の感じ方は人それぞれ異なります。
例えば、黒板をひっかく音がとても苦手で耳を塞ぎたくなる人もいれば、平気な人がいるのと同じです。
もし強い触覚過敏があれば、少し皮膚に触れただけでも痛みを感じる可能性もあるということです。
感覚過敏とは、単なる感覚への好き嫌いではなく、本当に過敏に感じ取ってしまう体質のようなものであると考えられています。
また、子ども自身も自分の感覚過敏に気づいていない場合もありますので、子どもが特定の場面で泣いたりパニックになる場合、感覚過敏を疑ってみることも必要です。
感覚過敏への良い対応
感覚過敏は、克服しようと思って克服したり、治療で治る問題ではありません。
先ほどの例で言うと、黒板をひっかく音がとても苦手な人に対して、黒板をひっかく音を耳元で流し続けても、非常に不快なストレスを与えるだけです。
それを数時間も続けられたら、耳を塞いで叫びたくなってしまうかもしれませんね。
感覚過敏のある子どもにとっても同じです。
感覚過敏への良い対応とは、不快な刺激をがまんさせたり、克服させようとすることではありません。
日常生活の中で不快な感覚刺激に遭遇した時に、自分でうまく対応する力を身につけることが大切です。
聴覚過敏
子どもに次のような様子があったら、聴覚過敏があるかもしれません。
- 大きい音や特定の音を怖がる
- 突然音がすると耳をふさいだりパニックになる
- 保育園や幼稚園でスピーカーからの音楽を怖がる
- 人ごみや騒々しい場所に行きたがらない
- テレビや掃除機など音のでる家電をつけると泣く
生活の中には様々な音が溢れています。
不快な音を自分で認識して、対処できるようにする必要があります。
聴覚過敏への対処方法
- 騒音が生じる場所や不快な音の出る場所をなるべく避ける
- 幼稚園の歌やお遊戯の時間は、音源から離れたり別室に移動させてもらえるようお願いする
- 不快な音が聞こえたら耳栓やイヤーマフを使う
- ノイズキャンセリングヘッドフォン・イヤフォン・デジタル耳栓を使う
ノイズキャンセリング機能のついたヘッドフォンやイヤフォンを使うと騒音を減らすことができるので、ぜひ試してみてください。
聴覚過敏については以前詳しく紹介しましたので、こちらのページをご参照ください。
視覚過敏
子どもに次のような様子があったら、視覚過敏があるかもしれません。
- 少しの光や、太陽の光を異常にまぶしそうにする
- 明るい蛍光灯の部屋など明るい場所で機嫌が悪くなる
- 白い紙や本に書いてある文字が読みにくいことも
視覚過敏があると、通常の明るさでもまぶしく感じてしまいます。
目が痛くなったり、頭痛を感じる場合もあります。
視覚過敏への対処方法
- サングラスや色つきの眼鏡を使う
- 屋外では帽子をかぶる
- 部屋は遮光カーテンにする
- 明るすぎる照明を避ける
- 教室では窓際ではなく廊下側の席に座れるよう配慮してもらう
- パソコンやスマートフォンの画面にはブルーライトカットフィルムを貼る
- 白い紙が読みにくい時には、色のついた下敷きを重ねて読む
光や日光だけではなく、白い紙やカラフルなものがチカチカして見えにくいという場合もあります。
サングラスや眼鏡のレンズの色にも種類があるので、どの色なら見えやすいか試してみるのが良いでしょう。
触覚過敏
子どもに次のような様子があったら、触覚過敏があるかもしれません。
- 他人に触れられるのを嫌がる
- 抱っこしようとすると泣く
- 洋服のタグを異常に気にしたり嫌がる
- 気に入った素材の洋服しか身につけない
- 風が当たると不機嫌になったり泣く
- 粘土などの感触を嫌がり触ろうとしない
- 寒くても靴下や手袋を嫌がる
- 床の感触がイヤでつま先立ちをしている
触覚過敏への対処方法
- 不快になりにくい素材の服を選ぶ(綿など)
- 縫い目の少ない服を選ぶ
- 服を買う時には本人が試着してから
- ズボンのゴムをゆるくする
- 服を裏返しで着る
- 身体にいきなり触れずに声かけする
触覚過敏があると、通常では何でもない刺激でも、針で刺すように痛みを感じてしまうという場合もあります。
抱っこしたり、抱きしめたり、手をつないだりといったスキンシップにさえ痛みを感じているかもしれないのです。
感覚過敏がある場合、生きていく上で日常生活やコミュニケーションにも様々な影響を及ぼしてしまいます。
このぐらいなら大丈夫!を見つけて、大丈夫な刺激を無理せず増やしていく工夫も必要になります。
その他の感覚過敏
嗅覚過敏
- 不快な臭いから遠ざかる
- 不快な臭いがしたらマスクをする
- マスクに好きな香りのアロマをつける
味覚過敏
- 食べることを強要しない
- 調理方法や味付けを変えてみる
- 食感を変えてみる(刻む・なめらかにするなど)
- 一緒にお料理してみる
偏食の原因には、味覚過敏の他にも触覚過敏の可能性もあります。
口の中の触覚が敏感になっていて、食べ物の食感を不快に感じている場合もあるのです。
味つけを変える他にも、食感を変える工夫を行ってみると良いです。
ことばで伝える能力も大切
様々な感覚過敏がある場合、不快な刺激への対処に加えて、「なにがいやか」「どうしてほしいか」子どもがことばで説明できると、とても暮らしやすくなります。
自分の気持ちを説明したり、どうしたいかをことばで説明することは、意外と難しいことです。
ことばの発達が遅れている子の場合は、うまく伝えられずに泣いたり怒ったりかんしゃくを起こしたりしてしまうことがあります。
そういった場合も、ことばが発達すると自分で伝えられるようになっていきます。
ことばの理解力や表現力を底上げしてあげることも大切です。
まとめ・終わりに
今回は、様々な感覚過敏について紹介し、対応方法の例を紹介しました。
感覚過敏は体質のようなものですので、克服させようと頑張るのではなく、嫌な刺激を遠ざけたり刺激を少なくするための工夫も大切です。
感覚過敏の症状に対しては、環境調整と嫌な刺激を少なくする対応の他にも、子ども自身がこのぐらいなら大丈夫と思える程度を見つけて、大丈夫な刺激を増やしていくようにしましょう。
KIZUKIは言語聴覚士による言葉と発達支援の教室です。
KIZUKIでは、言語聴覚士による発達支援とことばのレッスン、キッズヨガやプログラミングのレッスンを行っています。
感覚過敏について気になる場合も、どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。