自閉症スペクトラム(ASD)の子どものことばを育む!遊びの方法について紹介
発話のない自閉症スペクトラム(ASD)の子どもに対する、遊びのセラピーについて紹介します。
子どもが「ことば」を覚えるための土台として、人や物への関心と社会性の発達があります。
ASDの子どもの発語を促すためには、まずは好きな遊びや活動の中で人とのやりとりの楽しさに気づいてもらうことを大切にしています。
このページでは、ASDの子どものことばを育むセラピーについて紹介します。
子どもが心から楽しめる遊びや活動を用いる
KIZUKIのセラピーでは、子どもが好きな遊びや活動の場面をうまく利用して、人とのやりとりや発話を促していきます。
基本の流れ
- 子どもの好きな遊びを見つける
- 遊びの中で、発語(サイン)の直後に「良いこと」や「楽しいこと」が起きるようにしていく
- 発語(サイン)の頻度が増える
例:子どもが電車の「で」という→電車のおもちゃを手わたす
上記の例では、要求語としての「で」という発話によって、子どもは欲しかった電車のおもちゃを貸してもらうことができました。
発語により、子どもにとっての自然なご褒美(強化子)が与えられれば、ことばは増えます。
このようなやりとりを様々な場面で繰り返し、子どもが言える名詞を増やしていきます。
一言も発語のない子どもの場合は、サイン(ジェスチャー)を導入したり、PECSと呼ばれる方法を取り入れることもあります。
※PECS:絵カード交換式コミュニケーション
自然な遊びの場面でのやりとりを増やす
机の上で絵カードとお菓子などを用いて反復的にことばを教える方法もありますが、時間もかかりますし、ことばの使い方やコミュニケーションまで教えることは難しいです。
また、無理やりやらせたり、模倣させたりする方法は、その場では効果が現れるかもしれませんが、良いコミュニケーションに繋がりにくいです。
自然な遊びの場面で、子どもがことばを自然と使えるように導くことが、ことばの発達においては効果的です。
子どもが楽しめる遊びや活動を探すことも、セラピーの目的のひとつにしています。
子どもの自発性とモチベーションを高める
子ども自身のモチベーションが高い状態であるほど、自然なやりとりや発語の頻度は増えていきます。
子どものモチベーションを高めるために、大切にしているポイントを列挙します。
- 子どもの好みや関心に合わせて遊びを広げていく
- やらせるのではなく、子ども自身に遊びを選択させる
- 好きな遊びの中で自然なやりとりを増やす
- やさしい課題に加えてやや難しい課題もやってみる
例えば乗り物が好きな子どもであればトミカで遊ぶこともあります。
トミカを縦や横に並べてひたすら眺めている子どもに対しては、そこからうまく遊びの内容を広げてあげることが大切です。
また、楽に行えるものに加えて、少し難しい課題も実施してみるのも大切です。
相互的なやりとりの楽しさに気づいてもらう
自閉症スペクトラム(ASD)は、社会性の問題だと言われています。
しかし、ASDの子どもは一人で過ごしたり一人で遊ぶことがが好きなのでしょうか?
必ずしもそうとは言えませんよね。
いっしょに遊ぶ方が楽しい!と思ってもらえれば、相互的なやりとりの頻度も増えます。
モチベーションの高い遊びを通して、人とのやりとりの楽しさに気づいてもらうことが大切です。
人とのやりとりの楽しさに気づくことが、ことばやコミュニケーションの発達の土台となります。
子どもの語彙を増やす
ことばやサインを使った相互的なやりとりがいくつか可能になったら、今度は子どもの語彙(知っていることば)を遊びの中で増やしていきます。
子どもの興味のあるものや、日常で使うものの名前から増やしていくことが効果的です。
まずは名詞から増やし、次に形容詞や動詞を増やします。
この時、質問の仕方を教えることもしています。
子どもは「これ何?」とか「どうして?」とか質問できるようになると、ことばの数が増加していくことが多いです。
ASDの子どもは自然と質問行動ができないこともあるので、質問の仕方も遊びの中で教えていきます。
語彙や質問行動を増やすための遊びについては、また次回以降にご紹介していきます。
終わりに
今回は、ASDの子どもに行っている遊びのセラピーについて紹介しました。
発語のないお子さまのセラピーについてもお気軽にご相談ください。
まとめ
- 子どもの好きな遊びや活動の中でことばを増やす
- 子どもの自発性とモチベーションをうまく高める
- 遊びの中で人との相互的なやりとりの楽しさに気づかせる
- 遊びの中で語彙や質問行動を増やしていく