「か行」の発音練習には「うがい」が効果的!お風呂でできる練習を分かりやすく解説

2020年5月12日

子どもが「かきくけこ」を正しく言えない時、どのような練習をすれば良いのでしょうか?

今回は、か行の練習方法として、か行の発音の基礎となる「うがい」の方法を言語聴覚士が解説していきます。

か行の発音について

お子さんは次の様なお話の仕方をしていませんか?

  • 「か行」が「た行」になる:例) たいこ→「たいと」
  • 「か行」を省略して言う:例) たいこ→「たいお」
  • 「か行」が歪んで聞こえる

か行が言いにくいためにか行を別の音に言い換えたり、省略して言うのは、子どもにとてもよくあることです。

か行の練習はいつから始める?

発音の発達には個人差がありますが、かきくけこの構音が可能になるのは3歳〜4歳ぐらいのことが多いです。

4歳を過ぎてもか行がうまく言えない場合、発音の練習(構音訓練)が必要な状態かもしれません。

か行が言えない原因については以前詳しく紹介しましたので、次のページをご参照ください。

子どもが「か行」が言えない時の原因。「か」が「た」になる時は練習が必要?

か行の発音方法:舌の奥の方を挙げる能力が必要

みなさん、「た」「か」と言ってみてください。

「た」と言うときは舌の先を使って発音しますが、「か」と言うときは舌の奥の方を使って発音しています。

「か」と言うときに奥舌をうまく挙げることができないと、代わりに舌の前の方で発音して「た」になったり、子音を省略して「あ」になったりします

つまり、か行の発音には、舌の奥の方(奥舌)を上に挙げて発音する能力が必要になります。

か行の発音の基礎は「うがい」

舌の奥の方を、奥舌と言います。

みなさん、うがいをするとき、上をむいてがらがらとしますよね。

このとき、誤って水を飲み込んでしまわない様に、奥舌を上に挙げてのどにふたをしています。

うがいの時に奥舌を挙げる動きが、「か行」を発音するときに必要な舌の動きのトレーニングになるなんです!

うがいの教え方を詳しく紹介していきます。

うがいの練習を始める前に

まずは、お子さんが「うがい」を正しくできているか確認してみましょう。

できていると思っていても、実は奥舌ではなく、舌の前の方に水を溜めてぶくぶくとしている場合もあります。

うがいをしている時に覗き込んでみて、もし舌の前の方が持ち上がっていたら、正しいうがいの方法ではありません。

うがいを練習する時の注意点

うがいの練習では、誤って飲み込んだり、むせてしまうことがあります。

うがいの練習中にむせて苦しい思いをしてしまうと、練習がいやになってしまいます。

練習の際には、必ず大人が見守りながら慎重に行うようにされてください。

無理に行ったり、うまくできなくても叱ったりはしないでください。

また、口の中に疾患があったり、口蓋裂や麻痺のあるお子さんの場合は、誤飲しやすい状態のため、まずは専門家に相談されてくださいね。

うがいの練習は、4歳ごろから行うことができます。

うがいの練習方法

それでは、実際にやってみましょう。

必ず、段階を飛ばさずに順番に行なってみてくださいね。

お風呂などで遊びながら行うのもおすすめです。

準備するもの:コップ、ストロー、お水(飲み込んでも大丈夫なもの)

ステップ1 口の中に水を含んで貯める練習

まずは水を口の中に含んで、飲み込まずにすぐに吐き出します。

※上は向かなくて大丈夫です。

お風呂で水鉄砲の様に勢いよく吐き出したり、ぶくぶくとしてから吐き出したり、遊びながら行なってみてください。

できそうなら、「まだだよ」と声かけしながら、水を口の中に含んでいる時間を徐々に長くしていきましょう。

10秒ぐらい飲み込まずに溜められるようになったら、次のステップに移ります。

ステップ2 口に水を含んだまま上を向く練習

水を口に含んだまま、上を向いてみましょう。

はじめは上を向いたらすぐに吐き出すようにして、徐々に時間を長くしていきます。

ここでむせてしまうお子さんもいるので、見守りながら注意して行なってください。

ステップ3 うがいの練習

「うがいをしてみよう」と声かけして、今までのように水を口の中に含んで上を向いてもらいます。

その状態で、「あーーー」とまねっこして言ってもらいます。

上を向いて口の中に水を貯めていると奥舌が上がった状態ですので、その状態で「あーーー」と発声すると「うがい」ができます。

がらがらうがいはコツをつかむまで時間がかかることもあるので、楽しい雰囲気で遊びながら行なってくださいね。

ステップ4 水なしでうがいの音を出す練習

まずは少量の水でうがいをする練習です。

ストローをスポイトのように使って、少しの水をとります。

お子さんに上を向いてもらって「ちょっとだけのお水でやってみよう」と声かけしながら、1〜2滴口の中に入れてください。

その状態でうがいの音を出してもらいます。

できましたか?

もしできなかったら、少し水を増やして練習してくださいね。

1〜2滴の水でうがいができたら、次は水なしでうがいの音を出す練習です。

今までのように「お水いれるよ」と声かけしてストローで水を入れるフリをしながら、水を入れないでください。

これまでの練習ができていたら、水を入れなくても、声かけだけで奥舌をあげる「うがいの構え」ができるはずです。

この「うがいの構え」が、そのまま「か行の構え」になります。

そのまま声を出してもらうと、「か」「が」に近い音を出すことができます。

うがいからか行の発音へ

ステップ1〜4の練習ができたら、次は水を用意せずに、「うがいのまね」をしてもらいます。

うがいのまねの音は出せましたか?

ここまできたら、もう「か行」の発音の基礎は整いました。

1文字の「か」から初めて、発音の練習を開始していきます。

KIZUKIで行なっている発音の練習(構音訓練)について詳しくは次のページをご参照ください。

子どもの滑舌が気になったら。発音チェックと発音練習(構音検査と構音訓練)について

言語聴覚士による発音レッスンを受けよう

今回紹介したのは、「か行」を発音するための舌の奥の方を上に挙げる練習です。

「か行」の音やことばを、さらに正確に言えるようになるには、発音の練習が必要になります。

言語聴覚士による週1回程度のレッスン(構音訓練)と、ご家庭での毎日の練習(復習)によって、早く改善させることができます。

自己流の練習方法では、舌や喉の奥などに余計な力が入ってしまうこともあるためご注意ください。

「うがい」は良い方法ですが、これだけでは治りにくい場合も多いため、まずは言語聴覚士に相談してくださいね。

遠方の方や、忙しくて通うことが難しい方は、オンラインレッスンも行なっていますのでご相談ください。

オンラインことばの発達相談と発音・滑舌改善レッスン。言語聴覚士に気軽に相談

まとめ・終わりに

今回は、か行の発音の基礎となるうがいの教え方について紹介しました。

か行の発音には奥舌の動きが重要で、「うがい」はご家庭でもできる良いトレーニング方法です。

練習として繰り返し行うといやになってしまうこともありますので、長い時間は行わず、たくさん褒めて楽しみながらやってみてくださいね。

KIZUKIは言語聴覚士による発音・滑舌改善レッスンの教室です

KIZUKIでは、国家資格・言語聴覚士による個別の発音指導(構音訓練)を行なっています。

改善を早めるためには週1回のレッスンをお勧めしています。

初回〜初めの数回は、対面でのレッスンをおすすめしておりますが、慣れてきたらオンラインレッスンを中心に行うことも可能です。

発音や滑舌について気になったら、まずはお気軽にご相談くださいね。

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