発語だけ遅い。明らかな原因がないのに言葉だけ遅い時には。そのうち追いつくの?

2020年9月17日

発達障害などの明らかな原因がないのに、ことばだけ遅れる場合があります。

発語が遅れる原因と、特に原因がないのに言葉だけが遅れる「特異的言語発達障害(SLI)」について、言語聴覚士が解説します。

ことばの遅れとは

まずは、ことばの遅れについて簡単に説明します。 このページで言う「ことばの遅れ」は、次のような状態のことを指します。

  • 2歳を過ぎても発語がない
  • 発語はあるが、言葉が増えない
  • 3歳を過ぎても二語文が出ない
  • 発語は増えてきたが、文章でお話できない

お話しているけれど言葉が不明瞭だったり、言えない音があるといった発音の問題は、次のページをご参照ください。

子どもの滑舌が気になったら。発音チェックと発音練習(構音検査と構音訓練)について

ことばが遅れる4つの原因

次に、発語が出ない、ことばが増えない時に考えられる原因について紹介します。

  1. 聴力の問題
  2. 知的発達の遅れ
  3. 発語のための筋肉の発達の問題
  4. 社会性の発達の遅れ(発達障害を含む)

ことばの遅れには様々な原因がありますが、大まかに分けると上記の4つです。

言葉が遅れる原因については、以前詳しく紹介しましたので、次のページをご参照ください。

発語が遅い時の原因。2歳〜3歳で発語がない子の言葉の促し方。発達障害の可能性は?

原因がないのに「言葉だけ」が遅れるとき

先ほど紹介した4つの原因に当てはまらない子供もいます。

聴力も正常で、知的発達の遅れもなく、口腔の筋肉もしっかり発達していて、発達障害じゃないのに、なぜか言葉がだけが遅れている状態です。

子どもの発達のスピードには個人差がありますので、1歳〜2歳でことばが遅くても、3歳を過ぎて徐々に追いつく場合も多いです。

しかし、4歳を過ぎてもことばの発達が追いつかず、ことばの遅れが続く場合もあります。

このような状態を、特異的言語発達障害(SLI)と言います。

特異的言語発達障害とは

特異的言語発達障害(SLI)について紹介します。

次のような特徴に当てはまる場合、特異的言語発達障害かもしれません。

  • 聴覚障害がない
  • 知的発達の遅れがない
  • 社会性の問題や発達障害がない
  • 4歳を過ぎても「ことばの遅れ」が続いている

2〜3歳ごろまでは、まだ発達の個人差が大きい時期ですので、ことばが遅れていても自然に追いつく可能性も高いです。

「ことばの遅れ」とは、発語が遅かったり、二語文や三語文でお話するのが遅かったり、助詞や文法をうまく使えなかったりする状態です。

知的発達の遅れや社会性の問題はないため、保育園や幼稚園ではお友達とも遊べるし、日常生活での困りごとは少なかったりします。

しかし、ことばの遅れが続くため、幼稚園の先生の指示がよく理解できなかったり、小学校に入ってからの国語力に影響する場合があります。

欧米に比べて日本では特異的言語発達障害の概念があまり浸透していないため、単に「発達の遅れ」と言われたり、「知的発達の遅れ」に含まれてしまったりすることも多いようです。

似た概念として、表出性言語障害があります。こちらは、ことばの理解は正常なのに、表出(おしゃべり)が遅れるという状態です。

追いつくかどうかの見極めは難しい

子どものことばの発達には個人差が非常に大きいです。

1歳〜2歳で発語がなくても、徐々に追いつく場合も多いですし、特異的言語発達障害のようにことばの遅れが続く場合もあります。

4歳を過ぎて言葉が増えてきてから、赤ちゃんの頃には分からなかった自閉症スペクトラムなど発達障害が明らかになる場合もあります。

お子さんのことばの遅れが気になった場合、原因もタイプもそれぞれ異なりますので、それぞれのお子さんに合わせた支援が必要になります。

自然に追いつくかどうかの見極めは難しいため、言語聴覚士による支援を受けるのがおすすめです。

支援やレッスンはいつから必要?

ことばの遅れと言っても、その背景に原因がある場合もありますし、原因がない場合もあります。

相談にいらしゃってから、発達障害が分かったケースもありますので、ことばの遅れが気になったらまずは早めに相談するのがおすすめです。

実際のことばのレッスンは、お子さんの発達段階に合わせて必要な時期に行います。

KIZUKIでは、2歳代のお子さんからレッスンを行っています。

すぐにはレッスンを行わず、発達を待ったほうが良い場合もあります。

言語聴覚士に相談しましょう

ことばが徐々に増えて、ことばの遅れが目立たないぐらいに追いついた場合でも、小学校に入ってからさらに必要となる言語スキル(聞く・話す・読む・書く)で別の問題が生じることもあります。

ことばの遅れが心配になったら、言語聴覚士などの専門家に早めに相談してくださいね。

言語聴覚士は、ことばや発達に関する専門家(国家資格)で、それぞれのお子さんに合わせた発達支援を行うことができます。

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まとめ・終わりに

今回は、聴覚障害や発達障害などの原因がないのに、ことばが遅れる場合について紹介しました。

いずれ追いつくことも多いのですが、ことばの遅れが小学校に入ってからも続く場合もあります。

どのような経過を辿るか見極めることは難しいですし、成長してから自閉症スペクトラムなどの発達障害がわかる場合もあります。

お子さんの言葉について心配になったら、早めに専門家に相談するようにしましょう。

KIZUKIは言語聴覚士によることばの教室です

KIZUKIでは、言語聴覚士による個別のことばのレッスンを行っています。

  • 発語を促すレッスン
  • ことばを増やすレッスン
  • 遊びの中でことばを使うレッスン
  • 二語文や文章でお話するレッスン など

ことばの発達相談と体験レッスンも随時行っていますので、どうぞお気軽にご相談くださいね。