発語を促し発音の改善にもよい遊びと食事の工夫。口や舌の運動が大切!

2020年5月26日

ことばを話すためには、口や舌をなめらかに動かして発音する能力が必要です。

子どもの口や舌の筋肉の発達について言語聴覚士が解説し、発語を促す遊びやおすすめのおもちゃを紹介しました。ぜひ試してみてくださいね。

発語するために必要な能力

発語とは、意味を伴うことばのことを言います。

初めての発語(初語)の時期には個人差がありますが、1歳前後のことが多いと言われています。

赤ちゃんが発語できるようになるには、様々な能力の発達が必要です。

  1. 耳で聴いて理解する力
  2. 知的発達や記憶力
  3. 口や舌など、口の周りの筋肉の発達
  4. 人とやりとりする力

大きく分けて、上記の4つの能力が必要です。

今回は、3番目の「口の周りの筋肉の発達」について紹介します。

その他の発語が遅れる原因については、次のページをご参照ください。

発語が遅い時の原因。2歳〜3歳で発語がない子の言葉の促し方。発達障害の可能性は?

口や舌の筋肉の発達は、発語や発音に影響する

お子さんに次のような様子はありませんか?

  • よだれが多い
  • 硬いものを食べられない
  • 食事に時間がかかる
  • うまくストローを使えない
  • 頬をふくらませられない
  • 飴をすぐに噛んでしまう など

口の筋肉の発達が不十分だったり、口や舌の動かし方のコントロールがうまくできないと、発語が遅れたり、上手に発音できないことがあります。

口の筋肉の発達は、子どもの発語や発音にも影響するためとても重要です。

子どもの発音が聞き取りにくい時には練習が必要?発音・滑舌改善訓練を始める時期について

日常生活で気をつけるポイント

赤ちゃんが成長に伴ってハイハイできるようになったり、歩けるようになったりするように、口の中の筋肉も徐々に発達していきます。

口や舌をしっかりと発達させるために、日常生活で気をつけるポイントを紹介します。

食事の内容

食事をするときには、食べ物を噛むために口を開けたり閉じたり動かしたり、口の中に食べ物を入れて保ったりする必要があります。

この、食事のために必要な能力が、ことばを話すための土台となっていきます。

お子さんは、やわらかい物や、食べやすい大きさの物ばかり食べていませんか?

食事の際にできる工夫を紹介します。

  • 硬いものを食べる:おせんべい、フランスパンなど
  • お肉を食べる(噛みきる)
  • 棒つきキャンディを噛まずに舐める
  • ソフトクリームをペロペロ舐める
  • 飲み物をストローで吸う:シェイクなどどろっとした飲み物は吸う力がつきます
  • タネの入った果物を食べてタネを吐き出す:さくらんぼ、スイカなど

食事を工夫すると、口や舌の力が自然に鍛えられます。

食べられる年齢のお子さんでしたら、ぜひ好きなもので試してみてくださいね。

ぶくぶくうがいの練習

うがいには、ぶくぶくうがいと、がらがらうがいがあります。

早い子で2歳ごろからできるようになります。

ぶくぶくうがいの教え方

  1. 水を入れずに、ほっぺたを空気で膨らます練習
  2. 口に水を入れて、すぐに「ベー」と吐き出す練習
  3. ほっぺたの中で水をぶくぶく動かす練習

ぶくぶくうがいのためには、唇や頬の筋肉を上手に使う必要があり、口の周りの筋肉のトレーニングになります。

ぶくぶくうがいができる年齢には個人差が大きいです。

すぐにできなくても焦らずに、お風呂の中など水がこぼれてもよい場所で少しずつ試してみてくださいね。

ぶくぶくうがいよりも難しい、がらがらうがいのやり方については、次のページをご参照ください。

「か行」の発音練習には「うがい」が効果的!お風呂でできる練習を分かりやすく解説

口の筋肉を発達させる遊びを紹介!

次に、口や舌の筋トレになるおすすめの遊びを紹介します!

子どもは遊びを通して、人とやりとりする力を育み、ことばを覚えていきます。

発語には、口や舌を動かす遊びを取り入れることがおすすめです。

たくさん笑わせる

笑うことで口の周りの筋肉も使いますし、表情豊かになっていきます。

子どもが大声で笑うような遊びが効果的です。

遊びの例を紹介します。

  • いないいないばあ
  • 高い高い
  • 追いかけっこ
  • 体をくすぐる
  • にらめっこ(頬を膨らます練習にも)
  • 一本橋こちょこちょ など

少し意外ですが、このように体を大きく動かす遊びがとてもおすすめです。

体を動かしながら声をあげて笑うことで、口の筋肉も発達しますし、人との関わりも増え、発語へとつながっていきます。

毎日子どもをくすぐって、大声で笑わせてあげましょう!

吹くおもちゃ

ことばを話すには、息を吸って吐きながら声を出す必要があります。

吹くおもちゃは、唇の筋肉や、息をコントロールする力のトレーニングになります。

吹くおもちゃの例を紹介します。

  • ラッパ
  • シャボン玉
  • 吹きもどし(ぴろぴろ笛)
  • 吹くとボールが浮かぶおもちゃ
  • 風車
  • 紙風船 など

様々な種類があるので、ぜひご家庭での遊びに取り入れてみてくださいね。

声を使うおもちゃ

たくさん声を出すことで、発語へとつながっていきます。

声を使うおもちゃを使って、大きな声を出したり、小さな声を出したり、いろいろな声の出し方で遊んでみましょう。

  • おもちゃのマイクやメガホン
  • おもちゃの録音機
  • おもちゃのボイスチェンジャー
  • 音に反応して動くおもちゃ
  • ことばをおうむ返しするおもちゃ(ものまねぬいぐるみ)など

おもちゃのボイスチェンジャー、ものまねぬいぐるみで遊ぶと、自分の声への興味が芽生えるためおすすめです。

発達障害のある子どもは不器用な場合も

発達のゆっくりな子どもや、発達障害のある子どもは、体の動かし方が不器用な場合があります。

大きく体を使って動くことが苦手な子もいますし、手先の動きが不器用な子もいますし、口の周りの筋肉の使い方が不器用な子もいます。

ことばの練習のように無理に行わせるよりも、楽しみながら体を動かしたり、遊びながら声を出していくのが効果的です。

上手にできなくても叱ったりせずに、楽しい雰囲気で行ってくださいね。

インリアルとは?発語を促すために効果的な接し方を具体的に紹介!

まとめ・終わりに

今回は、発語を促すための口や舌の運動の大切さについて説明し、日常生活で気をつけるポイントやおすすめの遊びを紹介しました。

発語が遅い時や、うまく発音できない時には様々な原因が考えられますが、口や舌の筋肉の発達も話すための重要な要素です。

紹介した内容を日常に取り入れて、口や舌をなめらかに動かせるようにしていきましょう。

KIZUKIは言語聴覚士による言葉と発達支援の教室です

KIZUKIでは、国家資格・言語聴覚士による個別のことばのレッスン、言葉の相談を行なっています。

お子さんの発語が遅くて心配な場合も、お気軽にご相談くださいね。