しゃ行(しゃしゅしょ)が言えない、「しゃ」が「ちゃ」になる理由と発音の練習方法

2021年5月7日

「しゃしゅしょ」が言えない、発音が歪む、「しゃ」が「ちゃ」になる時には、どのような理由が考えられるのでしょうか。

「しゃ行」の発音や滑舌が気になる時の原因(子ども・大人)と練習方法について、言語聴覚士が解説します。

「しゃ行」が言えない原因

「しゃしゅしょ」が言えない/言いにくい場合、様々な原因が考えられます。

考えられる原因を紹介いたします。

  1. 発達途上のお子さまの場合
  2. 「し」が言えていない場合
  3. 側音化構音になっている場合
  4. その他の原因がある場合

発達途上のお子さまの場合

「しゃ行」が言えないお子様の場合、言葉の発達途上であるため、まだ正しく発音できない場合があります。

子どもは、初めから全ての音を発音できるのではなく、成長に伴って舌の筋肉や、舌をコントロールする力、音を意識して発音する力などが発達し、言える音が増えていきます。

また、注意して聴く力がまだ未発達な場合、「さ」も「しゃ」も「ちゃ」も同じような音に認識している場合もあります。

「しゃ行」は、だいたい2歳台に言えるようになることが多い音です。

「しゃ行」が言えなくても、3歳未満のお子様でしたらよくあることですので、まだ過度に心配する必要はありません。

子どもが「さ行」を言えない時の原因とは?「さ」が「た」などになる時の練習方法

「し」が言えていない場合

「しゃ行」は、「し」の発音を元にして言えるようになることが多いです。

もし「し」が「ち」になっている場合は、「しゃ行」の子音 [sh] (ないしょ話の「シー」のような音)が出せていないので、「しゃ行」の発音も難しい状態です。

大人の方でも、実は「し」の発音が正しくできていないために、「しゃ行」の発音に影響している場合があります。

この場合、まずは「し」の発音の練習をすることで、「しゃ行」についても改善できます。

側音化構音になっている場合

側音化構音と言って、発音する時に息をまっすぐに出せず、発音が歪んでしまう状態があります。

側音化構音は、一般的に「い」「し」「じ」「ち」「り」「に」など、「い」の段の音に多いのですが、「し」が側音化構音になっていると、それに伴い「しゃ行」の発音も歪んでしまいます。

側音化構音があると、息が口角の横から出るので「し」は「ひ」に近い音に聞こえ、「しゃ行」は「ひゃ行」に近い音に聞こえます。

側音化構音は、お子様にも大人の方にも見られます。

自然には改善しにくいので、練習の必要な状態です。

詳しくは次のページをご参照ください。

側音化構音とは?「き」「し」「ち」が言えない原因と、発音を治す練習方法(構音訓練)

その他の原因がある場合

その他にも、次のような原因が考えられます。

  • 聞こえにくさがある場合(難聴)
  • 口の中に問題がある場合(舌小帯短縮症、舌癖など)
  • 発達の遅れがある場合

発音の問題がある時には、別の問題が隠れていることもありますので、心配になったらまずは相談するようにしてください。

舌小帯短縮症とは?発音にも影響が出るってホント?チェック方法と治療について紹介

「しゃ」が「ちゃ」になる理由

ここでは、お子様に多い「しゃ」が「ちゃ」になる理由について、もう少し詳しく解説します。

「しゃ行」が「ちゃ行」に置き換わると、例えば次のような発語になります。

  • 「でんしゃ」→「でんちゃ」
  • 「いっしょ」→「いっちょ」
  • 「ちゅうしゃ」→「ちゅうちゃ」

これは、「しゃ行」を言う時に、舌先が口の中の天井に触れてしまっているために起こります。

「さ行」や「しゃ行」を発音する時には、舌先と上の前歯の後ろの歯茎で狭めを作って風を出す必要があります。

逆に、舌先が口の中の天井にぴったり触れてしまうと「さ行」「しゃ行」が「た行」「ちゃ行」になってしまいます。

舌先と歯茎の隙間から息を出すことがまだ難しいお子さまの場合、簡単な音である「ちゃ行」に置き換えて発音することは珍しくありません。

「しゃ行」が言えない時には練習が必要?

「しゃ行」が言えない、言いにくい時には、練習した方が良いのでしょうか?

お子様の場合と、大人の方の場合、それぞれ解説します。

お子様の場合

成長過程で「しゃ行」が言えない場合、多くの場合は発達に伴って言える音が増えいき、自然に言えるようになる場合が多いです。

しかし、成長を待っても自然に言えるようにならない場合には、練習を開始した方が良いでしょう。

「しゃ行」は2歳台で言えるようになることの多い音ですが、個人差もあります。

発音の練習を開始するには、ある程度の集中力や、指示をよく聞いて自分で練習する力も必要ですので、4歳を過ぎてから練習を開始することをおすすめしています。

ただ、言えない音がある時には、聴力の問題や、口の中の問題、発達の遅れなど、別の原因がある可能性もありますので、心配になったら早めに相談してください。

子どもの発音が聞き取りにくい時には練習が必要?発音・滑舌改善訓練を始める時期について

大人の方の場合

「しゃ行」が苦手な大人の方の場合は、「しゃ行」だけではなく「し」の発音にも原因があることが多いです。

「し」を言う時の音の出し方から丁寧に練習すると、「しゃ行」も正しく言えるようになります。

KIZUKIでは、大人の方を対象とした発音/滑舌改善のためのオンラインレッスンも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

「しゃ行」の練習方法

ここでは、小さいお子様に多い、「しゃ」が「ちゃ」になる場合の練習方法について紹介します。

※「しゃ行」が言えない理由や原因はそれぞれ違いますので、必ずしも下記の方法で改善できるわけではありません。

「しゃ」が「ちゃ」になる時の練習方法

「しゃ」を言う時に、舌と前歯の後ろの歯茎の間に隙間を作って息を出す練習を行います。

  1. 舌を少し出します(舌は尖らせず、平たく出してください)
  2. ストローを舌の上に縦に置きます
  3. 舌の上においたストローを、上の前歯でやさしく噛みます(強く噛むとストローが潰れますので、軽く挟むようにしてください)
  4. そのまま、「スー」と息を吹きます(舌は出したままにしてください)

※ストローを唇でくわえず、唇は開けておくようにしてください。

このようにストローを使って息を出す練習をすると、舌と歯茎の間に隙間を作って風を出すコツを掴むことができます。

この方法で、コップに水を入れてぶくぶく息を出してみるなど、楽しみながら行ってみてくださいね。

発語を促し発音の改善にもよい遊びと食事の工夫。口や舌の運動が大切!

まとめ・終わりに

今回は、「しゃ行」が言えない/言いにくい、「しゃ行」が「ちゃ行」になる時に考えられる理由と練習方法について、解説しました。

オンライン相談、オンラインレッスンも行っておりますので、発音についてご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

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