「ら行」が言えない原因。だ行になる、滑舌が悪い時の発音改善法。病気の可能性は?
子どもが「らりるれろ」を言いにくそうだったり、「ラ行」が「ダ行」など他の音になる時には練習が必要なのでしょうか?
ら行がうまく言えない原因と改善のための練習方法について、言語聴覚士が解説します。
ら行の発音について
ら行の[r]の音のことを、「弾き音」と言います。
弾き音とは、舌先を歯茎に当てて弾くようにして発音することを言います。
しかし、実はこれは日本語の「ら行」には必ずしも当てはまる発音方法ではありません。
英語の[r]は、巻き舌で強く弾くように発音することが多いのに対して、日本語のラ行での”弾き”は一般的にそこまで強くありません。
実際には、舌先で少し歯茎をさわって、すぐ下に降ろすように発音している場合が多いです。
2〜3歳でら行が言えないのは普通のこと
日本語には、子どもにとって言いやすい音と言いにくい音があります。
子どもは生まれてすぐに全ての音を発音できるのではなく、成長に伴って言える音が増えていきます。
発音可能な発達年齢の目安を紹介します。
- 1歳:母音、パ行、バ行、マ行、ヤ行
- 2歳:タ行、ダ行、ナ行、シャ行、ジャ行、チャ行
- 3歳:カ行、ガ行、ハ行
- 4歳:サ行、ザ行、ラ行
(個人差があります)
このように、ら行は日本語の中でも、言いにくい種類の音です。
2〜3歳の子供が、「らりるれろ」が正しく言えなかったとしても、発達途上によくあることですので、まだ心配しすぎる必要はありません。
子どもの発音の発達については、以前詳しく紹介しましたので、次のページをご参照ください。
ら行が言えない原因
ら行が言えない時には、どのような原因が考えられるのでしょうか?
ら行が言えない時の原因を3つ紹介します。
- 舌の先に力が入り過ぎている
- 口蓋化構音になっている
- 舌小帯短縮症がある
舌の先に力が入り過ぎている場合
最も頻度が多いのは、1の舌の先(舌尖)に力が入り過ぎている状態です。
先ほど説明したように、日本語のら行は、舌の先を歯茎の裏に当ててすぐ降ろすように発音します。
ここで、舌の先に力が入り過ぎてしまうと、ラ行がダ行に近い音になってしまいます。
お子さんにとてもよくある状態ですので、成長に伴って自然に治ることもあります。
しかし、なかには間違った発音が習慣化してしまって、4〜5歳を過ぎても正しい音で言えないことがあります。
その場合も、発音の練習で治りますので、心配し過ぎないでくださいね。
口蓋化構音になっている場合
2の口蓋化構音とは、発音する時についてしまった”くせ”のようなものです。
1の舌先に力が入り過ぎている場合とは異なり、舌先ではなく舌の真ん中あたりで発音している状態です。
口蓋化構音になっている場合、自然に治ることは少ないため、言語聴覚士による発音の練習が必要になります。
口蓋化構音を見極めるには、構音検査や訓練にある程度習熟している必要があるため、心配になったらまずは言語聴覚士に相談しましょう。
舌小帯短縮症がある場合
3の舌小帯短縮症とは、舌の裏にある粘膜のヒダが生まれつき短いために、舌を動かしにくくなる状態です。
舌小帯短縮症があっても、発音には影響がないことも多いのですが、中には滑舌が悪くなったり、特にら行など舌の先を使う音が言いにくくなる場合もあります。
軽度の舌小帯短縮症がある場合は、まずは舌を動かすトレーニングをして舌の可動域を広げます。
トレーニングでも舌の可動域や滑舌が改善しない場合は、手術の選択肢がとられることもあります。
舌小帯短縮症について詳しくは次のページをご参照ください。
ら行の練習はいつから必要?
発音の練習は、何歳ごろから始めるべきなのでしょうか?
発音(構音)の発達時期には個人差が大きいのですが、4〜5歳になっても自然に言えるようにならない場合は、練習が必要な状態かもしれません。
また、先ほど紹介した口蓋化構音などになっている場合は、もっと早めに練習を開始したほうが効果的な場合もあります。
お子さんの発音や滑舌について気になったら、まずは言語聴覚士に相談してくださいね。
ら行の練習方法
ら行が言えない時には、原因ごとに必要な練習を行う必要があります。
先ほど紹介した、舌に力が入り過ぎている場合や、口蓋化構音になっている場合には、力を抜く練習を行います。
舌小帯短縮症などの問題がある場合には、舌を上下左右に動かして可動域を広げる練習も必要です。
まずは、ら行が言えない原因について調べて、必要な練習を行いましょう。
「ら」の言い方
ここでは、舌の力が抜けていて、舌もなめらかに動かすことができる場合の「ら」の言い方について紹介します。
- 口を開けて「あ」の口にします
- 舌の先を、上の前歯の裏にやさしく当てます
- 舌の先を前歯の裏に当てたまま、声を出します
- 舌を下に降しながら続けて「あー」と言います
- 1〜4を速くいうと、「ら」になります
もし間違った方法で練習してしまうと、発音する時に変なくせがついてしまうこともあります。
正しい音が出せない場合は、自己判断で練習を続けずに専門家に相談するのがおすすめです。
言語聴覚士による構音訓練について
子どもの発音や滑舌の問題の多くは、国家資格・言語聴覚士による構音訓練(発音の指導)で改善させることができます。
言語聴覚士による構音訓練では、まずはお子さんの現在の発音の様子についてチェックし、誤り方を分析します。
そして、今すぐに訓練が必要かどうか判断して、必要であれば構音訓練を開始します。
KIZUKIでは、週1回程度の言語聴覚士によるレッスンと、ご家庭での毎日の練習をお勧めしています。
遠方の方や、忙しくて通うのが難しい方は、オンラインレッスンも行なっていますのでご相談ください。
まとめ・終わりに
今回は、子どもがら行がうまく言えない時に考えられる原因と、発音の練習(構音訓練)を開始する時期について紹介しました。
ら行が言えない原因は子どもによって異なります。
まずは、専門家にら行が言えない原因についてチェックしてもらい、原因ごとに必要な練習を行っていきましょう。
KIZUKIは言語聴覚士によることばや発音レッスンの教室です
KIZUKIでは、ことばや発達に関する国家資格・言語聴覚士による発音/滑舌のレッスンを行なっています。
一人ひとりのお子さんの発音の状況について調べて、効果的な練習方法をご提案することができます。
週1回の言語聴覚士によるレッスンの際に、ご家族の方にも練習方法を覚えて頂き、ご家庭で毎日5〜10分程度の練習を続けて頂く方法で行なっております。