吃音と発音の問題が両方ある子の支援。発音の改善は吃音の症状にも良い影響!

2020年3月23日

吃音のある子の中には、吃音の症状だけではなく、構音(発音)の発達もゆっくりな子どももいます。

幼児期に吃音がある場合、話し方について指摘しないほうが良いと言われていますが、発音や滑舌の問題も同時にある場合はどうすれば良いのでしょうか。

吃音と構音障害の合併している子どもへの指導について、言語聴覚士が解説します。

吃音と発音の問題について

まずは、吃音と発音の問題について簡単に解説していきます。

どちらも幼児期のお子さんによくある症状です。

吃音とは

吃音とは、音を繰り返したり、音がつまったりして、なめらかにお話のできない状態のことを言います。

吃音には、次のような症状があります。

  • 音の繰り返し:「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくね」のように音を繰り返す
  • 音の引き伸ばし:「ぼーくね」のようにはじめの音を引き延ばす
  • ブロック:「、、、っ、ぼくね」のようにはじめの音が出にくくなる

吃音のある子どもは、無理に症状を治そうとするのではなく、ありのままを受け入れてあげることが大切と言われています。

吃音について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

子どもの話し方や吃音(どもり)が気になったら。幼児期の吃音について解説

構音障害とは

ことばの発音を作る動作のことを「構音」と呼び、構音の発達には大きな個人差があります。

幼い頃に完璧に発音できないのは普通のことです。

周囲の大人の発音を聞いたり、おしゃべりしながら試行錯誤しながら、子どもは正しい発音ができるようになっていきます。

しかし、なかには誤った発音がくせとして残り、成長しても正しく発音できない状態になることがあります。

自然に治らない発音の誤りのことを、構音障害と言います。

障害と言っても、発音指導によってほとんどが改善しますので、心配しすぎないでくださいね。

お子さんの構音障害について、詳しくはこちらのページをご参照ください。

子どもの発音が聞き取りにくい時には練習が必要?発音・滑舌改善訓練を始める時期について

吃音と発音の問題が同時に生じるのは幼児期によくあること

幼児期に生じる、吃音や構音障害は、どちらも珍しくない状態です。

そのため、吃音のあるお子さんに同時に構音障害がある、ということはよくあります。

吃音と発音、どちらの症状もある場合、どのような支援を行えば良いのでしょうか。

特に吃音は複雑な問題で、話し方の症状は心理的な影響も受けやすいです。

吃音と構音障害が合併している場合の支援方法について詳しく紹介していきます。

吃音のある子に発音指導をする場合、特別な配慮が必要

吃音のある子への発音指導は慎重に行う必要があります。

その理由の一つは、吃音と構音障害の支援方法が異なるためです。

吃音や構音障害の支援方法は様々ですが、一般的に行われている方法や考え方について紹介していきます。

吃音と構音障害の支援方法の違い

吃音のある子へは、まずは環境調整を中心に行います。話し方については指摘しません。

小学校に入る頃に吃音指導も開始しますが、「やわらかな話し方」を練習したりします。

それに対して、発音指導(構音訓練)では、まず誤り音を自覚してもらい、「はっきりした発音」で正しく言えるように練習します。

このように、吃音支援と発音指導では、周囲の接し方や練習内容に大きな違いがあります。

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発音の指導(構音訓練)は必要だが、時期には慎重な判断を

自然に治りにくい構音障害がある場合、発音の指導が必要になります。

しかし、子どもの吃音には波があり、心理的な影響も受けやすいため、慎重に実施する必要があります。

その子の症状の状態に合わせた方法で実施する必要がありますが、支援方法の例を紹介します。

  1. 「やわらかく」お話する練習
  2. 「やわらかく」お話する練習の中で、発音の誤りがあったら直後に大人が正しい発音で言う
  3. 「やわらかく」お話しながら、発音する時の舌の位置や口形に気をつけて発音する練習

1は吃音の症状に対する支援、2〜3は吃音の支援に加えて行う発音指導です。

2の方法では、子どもの発音に対して指摘したり言い直したりはせずに、大人が正しい発音のモデルを示します。

子どもは耳で聴いて試行錯誤しながら正しく発音できるようになっていきますので、2の方法のみで改善するお子さんもいます。

1〜2では改善があまりない場合、吃音の症状をよく観察しながら、3のように発音の指導を開始していきます。

子どもの滑舌が気になったら。発音チェックと発音練習(構音検査と構音訓練)について

場合によっては構音訓練を中止する

構音訓練(発音指導)によって、吃音の症状が悪化したという研究もあります。

構音訓練を行う中で、吃音の症状の悪化が見られる場合、指導を一時中断して吃音の症状のフォローを中心に行うこともあります。

吃音の症状が落ち着いてきたら、構音の指導を再開できそうか検討する、というように、症状に合わせて臨機応変な支援を行うことが大切です。

まとめ・終わりに

今回は、吃音と構音障害が合併しているお子さんの指導について紹介しました。

発音の誤りが自然に治らない場合を構音障害と言い、構音訓練が必要になります。

発音が改善すると、本人の自信にも繋がり、結果的に吃音の症状も改善することもあります。

しかし、吃音のあるお子さんに構音訓練を行う場合には慎重な判断が必要です。

必ず吃音について詳しい言語聴覚士などの専門家に相談するようにしてください。

KIZUKIは言語聴覚士による個別ことばの教室です

KIZUKIでは、言語聴覚士による個別の発音指導(構音訓練)を行なっています。

吃音のあるお子さんの場合、吃音の症状に対する支援を行いながら、発音指導ができそうか慎重に判断して行います。

初回体験・個別相談会も随時実施しております。

吃音や発音について気になったら、どうぞお気軽にご相談くださいね。