落ち着きのなさ・不注意・多動性には理由がある!ADHDの症状と行動の原因
ADHD(注意欠陥多動性障害)やADD(注意欠陥障害)と言っても、それぞれの子どもの症状が生じる背景(理由)は異なるって知っていますか?
このページでは、ADHDの子どもの、不注意や多動性の背景について考えて、効果的な遊びや対処法を紹介していきます。
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?
ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、不注意・落ち着きのなさ・多動性・衝動性などの問題があり、日常生活や学校生活に影響を及ぼしている状態のことを言います。
決して珍しい疾患ではなく、子どもの約5%にADHDがあると言われています。
ADHDの症状があると次のような問題が生じることがあります。
- 集中できる時間が短い
- 少しのことで気が散りやすい
- 忘れものが多い
- じっと座っていられない
- ケアレスミスが多い
- 衝動的な行動が多い
これらの症状があると、授業や学習に集中できないため、学習が遅れることもあります。
二次的な問題として、心が不安定になったり、すぐにイライラしてしまうこともあります。
ADHDの診断がある子の行動の原因
子どもの行動をADHDという診断名で片付けてしまうと、それぞれの子どもの行動の理由を考えることを忘れてしまうことがあります。
ADHDの症状である不注意や多動性、衝動性の原因は一つではなく、子どもによって異なります。
それぞれの子どもに合わせた支援方法を考える時、まずはどうしてその症状が生じているのか、原因を探ることが大切です。
考えられる原因はたくさんありますが、ここでは例を紹介していきます。
- 周囲の刺激を追い求めている場合
- 感覚刺激の受け取り方が不器用な場合
- 視覚や聴覚からの情報を理解することが苦手な場合
- 運動や体のコントロールが苦手な場合
- その他(遺伝要因、脳の機能の要因について)
それでは一つずつ見てみましょう。
周囲への刺激を追い求めている場合
周囲から受ける刺激は、子どもにとって楽しいものが多いです。
例えば、お母さんの抱っこや高い高い、一本橋こしょこしょ、すべり台、ブランコ、ねんどやのりを使った遊びなど、好きな子どもが多いですよね。
これは、周囲からの刺激を受け取ったり、自分が動いて刺激を感じることが楽しいからです。
他の子どもと比べて過度に落ち着きがない場合を「多動」と言ったりします。
それぞれ必要な感覚刺激の量は子どもによって違って、少しの量で満足できない場合、自分で動き回ったり自己刺激をしたりします。
どうして子どもが多動になっているのかよく観察してみると、感覚刺激を自ら追い求めている場合がとても多いと感じています。
感覚刺激を受け取ることは子どもの成長にとって不可欠で、脳や体の成長にも影響します。
多動を止めさせようと考えるのではなく、運動あそびや感覚あそびをたくさん取り入れて刺激を与えてあげることが大切です。
感覚刺激の受け取り方が不器用な場合
ADHDのある子どもの中には、視覚や聴覚など様々な感覚刺激の受け取り方が不器用な子たちもいます。
大きく分けると次の2つです
- 様々な感覚の感じ方が過敏すぎて、おちつかない場合(感覚過敏)
- 感覚への反応が少なく、周囲との関わりが少ない場合
感覚過敏の場合、例えば視界に入るものすべてがいろいろ気になって落ち着かなかったり、窓の外の鳥の声や車の音が気になって落ちつかなかったりします。
感覚刺激への反応が少ない場合、話しかけても反応が少なかったり、目で見たものにすぐ反応しなかったりします。その場合、周囲の働きかけに関係なく行動したり動き回ることがあり、多動や不注意に見えてしまうことがあります。
感覚の受け取り方の不器用さがある場合、まずは環境を調整すること、さらに感覚あそびを取り入れて、感覚刺激をうまく受け取り調節する能力を育むことが大切です。
視覚や聴覚から情報を理解することが苦手な場合
見たり聞いたりして理解することが苦手な場合、状況理解や周囲とのやりとりにも影響します。
例えば耳で聞いた情報をうまく受け取り理解することができていなくて、集団で先生の指示に従えないなど、不注意に見えてしまうこともあります。
見たり聞いたりして理解することが苦手な場合は、その能力を使ったあそびを取り入れて、視知覚機能や聴覚的理解の能力の発達を促すことが大切です。
また、ことばの発達が影響している場合もよくあります。
運動や体のコントロールが苦手な場合
ADHDのある子どもの中には、体の動かし方が不器用な子たちも多いです。
体を動かすことが好きであっても、体の動きを自分でコントロールすることが苦手な子もいます。
運動能力や体をコントロールする能力は、子どもの発達の土台となります。
体を動かす能力や、目と手の協応、目と足の協応など、運動機能を高めることによって、徐々に自分の体の動きをコントロールできるようにしていくことが大切です。
その他(遺伝要因・脳の機能の要因について)
ADHDの原因として、遺伝が関係しているとか、脳の伝達物質や脳の機能に要因があるという研究もあります。
遺伝については、ADHDは必ずしも遺伝するわけではありませんが、ADHDになりやすい体質が遺伝する可能性はあるようです。
また、脳の神経伝達物質や脳機能とADHDの症状との関係も研究されています。「コンサータ」「ストラテラ」など薬物的な治療が行われる場合もあります。
ADHDの診断がある子どもに対するKIZUKIのセラピー
KIZUKIでは、言語聴覚士によることばのレッスンと、行動療法やキッズヨガを取り入れた個別のセラピーを行っています。
ADHDと診断されている子どもの行動の理由は一つではないことが多く、まずは注意深く観察して行動について理解することが大切です。
お子さまの行動についてお悩みがある場合もお気軽にご相談ください。
お申し込みは下記のフォームよりお願い致します。
まとめ
- ADHDの症状である不注意や多動性、衝動性が生じる背景は子どもによって異なる
- 不注意や多動性、衝動性の理由は一つではなく、様々な理由が複合して起きている
- まずは子どもの行動をよく観察して、その行動の原因を考えることが大切
- KIZUKIではキッズヨガや感覚あそびなど、それぞれの子どもに合わせた効果的な遊びのセラピーを実施している