子どもの人見知りの原因と接し方。いつから・なぜ起きる?性格との関係や克服方法

2020年6月26日

子供が幼稚園のお友達とお話できなかったり、集団に溶け込むのに時間がかかると心配になってしまいますよね。

子供に多い人見知りと、原因や対策について、言語聴覚士が解説します。

人見知りとは

生まれてすぐの赤ちゃんは、まだ人見知りをしません。

他の人と母親の区別ができるようになると、人見知りの時期が始まります。

実は、「人見知り」とはネガティブなものではなく、発達過程に必要な段階なんです。

人見知りはいつから始まりいつまで続く?

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ人の区別がついていません。

人の顔を見つめたり、微笑んだりしていても、まだ視力が発達していないため、母親や父親を区別することができない状態です。

視力が徐々に発達し、生後6ヶ月ぐらいになると、母親など見慣れた人にだけ笑顔を見せるようになります。

なかには、母親には笑顔を見せるけど、父親を見ると嫌がったり、普段かけているメガネを外しただけで泣いてしまったりする子もいます。

生後6ヶ月頃から2歳ごろまで続く人見知りは正常な発達の証ですので、心配し過ぎる必要はありません。

もし泣かれてしまっても、その人が嫌いで泣いているわけではないので、赤ちゃんが安心できるように一緒に遊んだりしてあげましょう。

もし人見知りがなかったら

逆に、人見知りが全くなかったら、少し気にしてあげる必要があります。

お子さんに次のような様子はありませんか?

  • 目が合わない気がする
  • ひとりで遊んでいることが多い
  • 抱っこを嫌がる、抱っこしてもしっくりこない
  • 人とのやりとりが少ない、人に興味がないように見える
  • 発声が少ない、発語が遅い

もしかしたら、社会性の発達がゆっくりで、人への関心が少ない状態かもしれません。

発達障害のある子の場合、思い返してみると人見知りがなかったという場合もあります。

気になったら早めに言語聴覚士などの専門家に相談してくださいね。

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人見知りを克服した方が良い場合とは

人見知りは成長過程の段階であると紹介しました。

子どもの人見知りは、その子の性格とも関係しているため、基本的には心配し過ぎる必要はありません。

それでは、子どもの人見知りが問題になるのはどのような時でしょうか?

  • 幼稚園や小学校などでお友だちと遊べない
  • 家ではお話できるけど、外出先ではお話できない
  • 知らない場所に行くのをとても嫌がったり大泣きする
  • 3歳を過ぎても、母親と離れると大泣きする
  • 場所見知りや物見知りが激しい

5つ目の「場所見知りや物見知り」とは、人見知りのように「慣れていない場所やモノ」に対して不安になったり泣いたりしてしまう状態です。

このように、人見知りが原因でその子が楽しく生活できなかったり、自分の能力を発揮できない場合、少しずつ人見知りを克服できるようさりげなく手助けをしてあげると良いでしょう。

人見知りの克服方法や対策、接し方については、このコラムの後半で紹介いたします。

人見知りの原因

子どもの人見知りの原因を5つ紹介します。

人見知りは、育て方や環境よりも、生まれつきの性格や気質が関係している場合が多いです。

  1. 発達過程の人見知り
  2. 個性や性格としての人見知り
  3. コミュニケーションの経験不足
  4. ことばの発達の遅れがある場合
  5. 場面緘黙(かんもく)の可能性

発達過程の人見知り

コラムの前半で紹介したように、発達過程に人見知りが起きるのは普通のことです。

視力、認知機能、記憶力などの発達により、赤ちゃんは人の顔を区別できるようになり、人見知りをする状態になります。

生後6ヶ月ごろ〜2歳ごろまでの人見知りは、必要な発達段階ですので、過剰に心配せずに見守るようにしましょう。

この時、例えば母親には笑顔を見せるけれど父親が抱っこすると泣いてしまったりします。

赤ちゃんが安心できる人(母親など)が、他の人と仲良く話したり笑顔を見せている様子を見せるようにすると、赤ちゃんも徐々に安心できるようになっていきます。

個性や性格としての人見知り

3歳を過ぎると、保育園や幼稚園に通い出したり、家族以外の人と接する機会も増えてきます。

母親や家族という子どもにとっての安全基地を心に持ち、社会の中での集団生活を初めていく時期です。

集団に入ると、様々な性格の子どもがいます。

自己主張が強いけどリーダーシップのある子や、控えめだけど協調的な性格の子など様々です。

人見知りのある子は、集団に溶け込むまでに時間がかかるかもしれませんが、それが必ずしも短所というわけではありません。

人見知りを治そうとだけするのではなく、例えば”よく考えてから行動するタイプの子だね”とか、”警戒心の強い慎重なタイプの子なんだね”と、その子の良い面や性格を受け入れてあげることが大切です。

積極的で外交的な性格の子が優れているとか、人見知りがあるからすぐに克服しないといけないと考えるのは間違いです。

コミュニケーションの経験不足

子どもが人とやりとりしたり、コミュニケーションする力が不足していると、人見知りのような状態になることがあります。

コミュニケーション能力は成長や様々な経験を通して発達していきます。

保育園や幼稚園が始まってすぐに集団に馴染めなかったとしても、まだ経験がなかったのですから普通のことです。

子どもの不安な気持ちを責めずに受け入れてあげましょう。

いつでもママやパパという安全地帯がある安心感を子どもに与えてあげることが大切です。

心に安全地帯があると、子どもは母親を離れても自信を持って行動したり人とやりとりできるようになっていきます。

ことばの発達の遅れがある場合

発語が遅かったり、ことばの発達が遅れている子の場合、うまく人とやりとりできなかったり人見知りのような状態に見えることがあります。

  • 話しかけられていることばの意味が理解できない
  • その場の状況や指示されている内容が理解できない
  • 自分の気持ちや意思をことばで伝えられない

このように、ことばの遅れがあると、コミュニケーションに影響してしまいます。

ことばの発達のスピードは個人差が大きいです。

保育園や幼稚園に入るとすでにたくさんお話できる子もいれば、まだ発語が少ない子もいます。

子どもの発語が遅かったり、ことばの発達が心配になったら、まずは専門の言語聴覚士に相談してくださいね。

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場面緘黙(かんもく)の可能性

場面緘黙(かんもく)とは、家では普通にお話できるのに、幼稚園など家の外ではお話できなくなってしまう状態のことを言います。

場面緘黙症はあまり知られていないため、初めて耳にする方も多いかもしれませんね。

症状の程度は人それぞれで、外に出ると声がまったく出なくなるという子もいます。

場面緘黙の症状があると、自分の能力を発揮しにくくなってしまうため、なるべく早期に気づいて適切なサポートを行ってあげることが必要です。

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人見知りを克服する3つの方法

子どもの人見知りを改善させる3つの方法を紹介します。

  1. まずは不安を取り除く。無理強いしない
  2. 人との交流の機会を増やす
  3. 子どもの特技を見つけて自信をつける

まずは不安を取り除く。無理強いしない

子どもが人見知りをするのは、知らない人や場所に不安を感じたり、警戒心があるためです。

いきなり集団で遊ぶことを無理強いしたり、「遊んでおいで」と放り出しても、不安な気持ちが強まるだけです。

次の3ステップで段階的に不安を取り除きましょう。

  1. 親が人と仲良くしているとことを見せる
  2. 他の子どもが遊んでいる様子を外から眺める
  3. 他の子どもに近づいて同じ遊びを横でしてみる

子どもは親をお手本として成長します。

まずは親が他の人や子どもに笑顔で話しかけたり、楽しくお話している様子を見せましょう。

次に、公園や児童館など子どもが集まる場所で、他の子どもの存在に慣れていきましょう。

まずは子どもたちが遊んでいる様子を遠くから眺めるだけでも十分です。

次に、「ママと一緒に行ってみようか」と声かけして、子どもたちに近づいてみましょう。

子どもはいきなりお友達と一緒に遊べるようになるわけではありません。

まずは遠くから眺め、次に同じおもちゃや遊具で遊んだりして、徐々に一緒に遊べるようになっていきます。

人との交流や会話の機会を増やす

他の人や子どもの存在に慣れてきたら、次にうまく会話したりやりとりをする経験を積んでいきます。

まずは、親や大人と会話をする練習を行うのも良いでしょう。

例えば、名前や年齢を聞かれて答えたり、今日あったことを振り返ってお話してみたりしましょう。

一緒に遊びたい時に「入れて」「一緒にやろう」というなど、ことばの使い方のモデルを示してあげることも大切です。

子どもが安心してお話したり遊べる場所を作るのもおすすめです。

KIZUKIでは、言語聴覚士によることばの使い方や表現の仕方のレッスンも行っています。

子どもの特技を見つけて自信をつける

人見知りをせずに会話ややりとりをするために最も大切なのは、”自信をつける”ことです。

子どもが、“これは自慢できる!先生やお友達にお話したい!”と思えるような特技を見つけてあげましょう。

他の子どもがやっていないような、少し珍しい習い事がおすすめです。

KIZUKIでは、言語聴覚士による発達支援やことばのレッスンと、幼児からできるプログラミングやキッズヨガのレッスンを組み合わせて実施しています。

プログラミングは子どもたちの自由な発想力や創造性を養う

まとめ・終わりに

今回は、子供に多い人見知りの原因や克服方法について言語聴覚士が紹介しました。

人見知りは子どもの生まれ持った性格とも関係していて、必ずしも治さなければいけないものではありません。

しかし、人見知りがその子の生活に影響したり、その子の能力を発揮する機会を狭めている場合は、少しずつ克服していくことも大切です。

KIZUKIは言語聴覚士による言葉と発達支援の教室です

人見知りは、ことばの発達の遅れや、ことばを使ったコミュニケーションの経験不足が原因である場合があります。

KIZUKIでは、言語聴覚士によることばのレッスン、キッズヨガやプログラミングのレッスンを行っています。

すべて個別ですので、その子に合わせた必要なプログラムを作成することができます。

ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。