「ら行」が言えない原因。だ行になる、滑舌が悪い時の発音改善法。病気の可能性は?

2020年7月16日

子どもが「らりるれろ」を言いにくそうだったり、「ラ行」が「ダ行」など他の音になる時には練習が必要なのでしょうか?

ら行がうまく言えない原因と改善のための練習方法について、言語聴覚士が解説します。

ら行の発音について

ら行の[r]の音のことを、「弾き音」と言います。

弾き音とは、舌先を歯茎に当てて弾くようにして発音することを言います。

しかし、実はこれは日本語の「ら行」には必ずしも当てはまる発音方法ではありません。

英語の[r]は、巻き舌で強く弾くように発音することが多いのに対して、日本語のラ行での”弾き”は一般的にそこまで強くありません。

実際には、舌先で少し歯茎をさわって、すぐ下に降ろすように発音している場合が多いです。

2〜3歳でら行が言えないのは普通のこと

日本語には、子どもにとって言いやすい音と言いにくい音があります。

子どもは生まれてすぐに全ての音を発音できるのではなく、成長に伴って言える音が増えていきます。

発音可能な発達年齢の目安を紹介します。

  • 1歳:母音、パ行、バ行、マ行、ヤ行
  • 2歳:タ行、ダ行、ナ行、シャ行、ジャ行、チャ行
  • 3歳:カ行、ガ行、ハ行
  • 4歳:サ行、ザ行、ラ行

(個人差があります)

このように、ら行は日本語の中でも、言いにくい種類の音です。

2〜3歳の子供が、「らりるれろ」が正しく言えなかったとしても、発達途上によくあることですので、まだ心配しすぎる必要はありません。

子どもの発音の発達については、以前詳しく紹介しましたので、次のページをご参照ください。

子どもの発音が聞き取りにくい時には練習が必要?発音・滑舌改善訓練を始める時期について

ら行が言えない原因

ら行が言えない時には、どのような原因が考えられるのでしょうか?

ら行が言えない時の原因を3つ紹介します。

  1. 舌の先に力が入り過ぎている
  2. 口蓋化構音になっている
  3. 舌小帯短縮症がある

舌の先に力が入り過ぎている場合

最も頻度が多いのは、1の舌の先(舌尖)に力が入り過ぎている状態です。

先ほど説明したように、日本語のら行は、舌の先を歯茎の裏に当ててすぐ降ろすように発音します。

ここで、舌の先に力が入り過ぎてしまうと、ラ行がダ行に近い音になってしまいます。

お子さんにとてもよくある状態ですので、成長に伴って自然に治ることもあります。

しかし、なかには間違った発音が習慣化してしまって、4〜5歳を過ぎても正しい音で言えないことがあります。

その場合も、発音の練習で治りますので、心配し過ぎないでくださいね。

子どもの滑舌が気になったら。発音チェックと発音練習(構音検査と構音訓練)について

口蓋化構音になっている場合

2の口蓋化構音とは、発音する時についてしまった”くせ”のようなものです。

1の舌先に力が入り過ぎている場合とは異なり、舌先ではなく舌の真ん中あたりで発音している状態です。

口蓋化構音になっている場合、自然に治ることは少ないため、言語聴覚士による発音の練習が必要になります。

口蓋化構音を見極めるには、構音検査や訓練にある程度習熟している必要があるため、心配になったらまずは言語聴覚士に相談しましょう。

舌小帯短縮症がある場合

3の舌小帯短縮症とは、舌の裏にある粘膜のヒダが生まれつき短いために、舌を動かしにくくなる状態です。

舌小帯短縮症があっても、発音には影響がないことも多いのですが、中には滑舌が悪くなったり、特にら行など舌の先を使う音が言いにくくなる場合もあります。

軽度の舌小帯短縮症がある場合は、まずは舌を動かすトレーニングをして舌の可動域を広げます。

トレーニングでも舌の可動域や滑舌が改善しない場合は、手術の選択肢がとられることもあります。

舌小帯短縮症について詳しくは次のページをご参照ください。

舌小帯短縮症とは?発音にも影響が出るってホント?チェック方法と治療について紹介

ら行の練習はいつから必要?

発音の練習は、何歳ごろから始めるべきなのでしょうか?

発音(構音)の発達時期には個人差が大きいのですが、4〜5歳になっても自然に言えるようにならない場合は、練習が必要な状態かもしれません。

また、先ほど紹介した口蓋化構音などになっている場合は、もっと早めに練習を開始したほうが効果的な場合もあります。

お子さんの発音や滑舌について気になったら、まずは言語聴覚士に相談してくださいね。

ら行の練習方法

ら行が言えない時には、原因ごとに必要な練習を行う必要があります。

先ほど紹介した、舌に力が入り過ぎている場合や、口蓋化構音になっている場合には、力を抜く練習を行います。

舌小帯短縮症などの問題がある場合には、舌を上下左右に動かして可動域を広げる練習も必要です。

まずは、ら行が言えない原因について調べて、必要な練習を行いましょう。

「ら」の言い方

ここでは、舌の力が抜けていて、舌もなめらかに動かすことができる場合の「ら」の言い方について紹介します。

  1. 口を開けて「あ」の口にします
  2. 舌の先を、上の前歯の裏にやさしく当てます
  3. 舌の先を前歯の裏に当てたまま、声を出します
  4. 舌を下に降しながら続けて「あー」と言います
  5. 1〜4を速くいうと、「ら」になります

もし間違った方法で練習してしまうと、発音する時に変なくせがついてしまうこともあります。

正しい音が出せない場合は、自己判断で練習を続けずに専門家に相談するのがおすすめです。

言語聴覚士による構音訓練について

子どもの発音や滑舌の問題の多くは、国家資格・言語聴覚士による構音訓練(発音の指導)で改善させることができます。

言語聴覚士による構音訓練では、まずはお子さんの現在の発音の様子についてチェックし、誤り方を分析します。

そして、今すぐに訓練が必要かどうか判断して、必要であれば構音訓練を開始します。

KIZUKIでは、週1回程度の言語聴覚士によるレッスンと、ご家庭での毎日の練習をお勧めしています。

遠方の方や、忙しくて通うのが難しい方は、オンラインレッスンも行なっていますのでご相談ください。

オンラインことばの発達相談と発音・滑舌改善レッスン。言語聴覚士に気軽に相談

まとめ・終わりに

今回は、子どもがら行がうまく言えない時に考えられる原因と、発音の練習(構音訓練)を開始する時期について紹介しました。

ら行が言えない原因は子どもによって異なります。

まずは、専門家にら行が言えない原因についてチェックしてもらい、原因ごとに必要な練習を行っていきましょう。

KIZUKIは言語聴覚士によることばや発音レッスンの教室です

KIZUKIでは、ことばや発達に関する国家資格・言語聴覚士による発音/滑舌のレッスンを行なっています。

一人ひとりのお子さんの発音の状況について調べて、効果的な練習方法をご提案することができます。

週1回の言語聴覚士によるレッスンの際に、ご家族の方にも練習方法を覚えて頂き、ご家庭で毎日5〜10分程度の練習を続けて頂く方法で行なっております。