【幼児〜小学生】助詞はいつから?「てにをは」を間違える時の練習と教え方

2020年9月8日

子どもはいつから助詞を使って文章でお話したり、助詞を使い分けられるようになるのでしょうか?

助詞が出ない、「てにをは」を間違える時の原因と練習方法について、言語聴覚士が紹介します。

日本語の助詞について

日本語には「が(は)」「に」「を」「で」などの助詞があります。

助詞の使い方が違うと、意味を変わってしまうことがあります。

まずは、次の2つの文章を比べてみましょう。

  1. 「魚  食べる」
  2. 「魚  食べる」

1つ目の文章は、誰かが食事として魚を食べるという内容です。

2つ目の文章は、生きている魚が餌などを食べるという内容です。

助詞が1文字違うだけで、大きく意味が変わってしまいますね。

もう1つ、例を見てみましょう。

  1. 「ネコ が ネズミ を 追いかける」
  2. 「ネコ を ネズミ が 追いかける」

このように、助詞の「」「」の位置が入れ替わっても、意味が逆になってしまいます。

助詞の使い方って意外と難しいですよね。

日本語の助詞の種類について

日本語は助詞の種類が多く、主に次のような分類があります。

  1. 格助詞
  2. 並立助詞
  3. 接続助詞
  4. 係助詞
  5. 副助詞
  6. 終助詞

今回の記事では、小学校1〜2年生の国語でつまづくことの多い、格助詞・並立助詞の使い分けについて紹介します。

格助詞には、「が・の・に・と・で・や・を・へ・より・から」などが含まれます。

何歳ごろから助詞を理解して使えるようになるの?

子どもはいつから助詞を使えるようになるのでしょうか?

幼児期の子どもたちの多くは、二語文でお話していても、「ごはん 食べる」「公園 行く」「バス のる」といった感じで助詞を省略してお話したり、聞こえた通りに覚えて話したりしています。

日本語では、助詞を使わなくてもある程度は話の内容が通じますし、大人でも助詞を使わないで話している場合も多いです。

助詞が必要になるのは、「だれが、なにを、どうした」と言うように三語文以上でより詳しい内容を伝えたり、文章での説明やお話が可能になる時期です。

子供の言葉の発達には個人差がありますが、目安となる年齢を紹介します。

  • 助詞を含む文章を、まねをしてお話できる:2歳〜3歳ごろ
  • 格助詞(が・を・に・で 等)を理解して、使い分けができる:4〜5歳ごろ

大人が言った言葉や文章をまねして言ったり、文を丸ごと覚えて言ったりしていても、格助詞による意味の違いは理解していない場合も多いため、注意が必要です。

助詞が出ない時の原因

5〜6歳になっても、助詞が出ない時に考えられる原因を紹介します。

  1. 語彙(語い)の数が少ない
  2. 単語〜二語文レベルでお話している

まだ知っている言葉の数が少なかったり、単語〜二語文でお話していることが多い段階では、助詞を省略している場合が多いです。

「ごはん食べる」「ジュース飲みたい」のように、助詞を使わなくても意味が通じるため、子どもにとって助詞を使う必要性がないためです。

助詞が出ないと言うご相談で一番多い原因は、このようにまだ文章でお話する段階にない状態です。

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助詞を使えない、間違える時の原因

  • たくさんお話はしているけど、助詞をうまく使えていない
  • 文章を書くときに助詞を間違えることが多い
  • 国語の「てにをは」プリントや、文章の読解問題が苦手

このように、お話はできるけれど、助詞の理解が定着しなかったり、意味を間違えるときには、助詞を含む日本語の文章構造への興味や意識が少ない状態かもしれません。

たくさんお話していても、「主語+目的語+述語」のように整理してお話することが難しく、思いついた順序で話していたりします。

文章構造や助詞への理解が未熟だと、小学校に入ってからの国語や文章読解問題でつまづく場合があります。

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練習はいつから必要?助詞の教え方

それでは、助詞の練習は何歳頃から必要なのでしょうか?

先ほど紹介した、助詞を使えない原因の段階によって、練習方法が異なります。

  1. 単語〜2語文レベルでお話していて文章にならない場合
  2. たくさんお話できるけど、4歳を過ぎても助詞の使い分けができない場合

1の場合は、まずは語いを増やして、語いが十分に増えたら、文章でお話する練習をします。

発話量が増えて、ある程度文章でお話できるようになってから、助詞を正しく使えるように練習していきます。

2の場合は、日本語の構文の枠組みに合わせて助詞を使ったり、正しい文を作る練習をします。

助詞の穴埋め式にしたり、クイズ方式にしたり、楽しみながら行うのがコツです。

このように助詞自体の練習は4歳を過ぎてから行う場合が多いです。

助詞の教え方

格助詞1つひとつの意味について論理的に説明してもとっつきにくく、大人でも理解が難しいです。

言語聴覚士が行う、助詞の学習方法の例を紹介します。

まずは構文のテンプレートを用意して当てはめながら実際に文を作り、助詞の使い方に慣れていきましょう。

  • 「◯◯が、◯◯で、◯◯している」
  • 「◯◯が、◯◯に、◯◯している」

次に、今度は助詞の部分を空白にして、穴埋めクイズのように練習すると、理解が深まります。

  • うさぎ( )、にんじん( )、食べる
  • お母さん( )、魚( )、切る
  • 電車( )、遊園地( )、行く

絵や写真を見て、助詞を使った文章で説明する練習をするのも良いですね。

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ご家庭でできる助詞の練習方法

ご家庭で取り組める練習方法として効果的なのは、耳から覚える方法です。

日本語は助詞を省略してもある程度意味が通じるため、意外と大人も助詞を使って会話をしていない場合があります。

「買い物 に 行こう」

「お昼ごはん カレー 食べよう」

「今日 自転車 図書館 行こう」

このように、まずは大人が助詞を意識的に(やや強調して)使って、耳から聞かせてあげましょう。

子どもは耳から聞いて言葉を学習していくので、様々な場面で助詞を使った文章を聞くことで、助詞の使い方のパターンに慣れていきます。

まとめ・終わりに

今回は、子どもが助詞(格助詞)をうまく使えない、助詞が出ないときの原因と練習方法について紹介しました。

助詞を使わなくても会話はできますが、助詞の意味が正確に理解できていないと言葉を誤解してしまったり、読み書きで間違えたり、国語や算数の文章問題でつまづいたりします。

特に小学校に入ると、国語以外でも読み書きが必要な場面が増えて、文章の読解力や論理的に説明する力にも影響してしまいます。

子どもの発達段階に合わせた練習をして、助詞の使い方に慣れていくことが大切です。

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お子さんのことばの発達や学習面(国語・算数)で気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談くださいね。