子どもの話し方や吃音(どもり)が気になったら。幼児期の吃音について解説

2020年1月5日

はじめの音を繰り返して言ったり、声の出しはじめにつまったり、なめらかにお話ができない状態のことを吃音と言います。

子どもの吃音の原因や症状、良い接し方について紹介します。

吃音とは

吃音とは、次のような症状があってなめらかにお話できない状態のことを言います。

  • 音の繰り返し:「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくね」のように音を繰り返す
  • 音の引き伸ばし:「ぼーくね」のようにはじめの音を引き延ばす
  • ブロック:「、、、っ、ぼくね」のようにはじめの音が出にくくなる

子どもがこのようなお話の仕方をしていたら、吃音なのかどうか気になりますよね。

吃音は幼児期に発症することが多く、子どもの頃からの吃音を発達性吃音と言います。

発達過程で吃音に似た状態になることもある

実は、子どもが吃音に似たお話の仕方になるのは、発達途上でよくみられる現象です。

幼児期はことばが発達する時期です。

ことばの発達過程の中で、おしゃべりしたい物事もたくさん増えて、スムーズに話せずことばがつかえてしまうことはよくあります。

年齢でいえば、特に3〜4歳の子どもによく生じます。

幼児期にみられる吃音に似た状態は、小学校に入る前に自然と治ってしまうことも多いです。

具体的には、7割程度の子どもは自然に治るといわれています。

しかし、中には自然に治らず、吃音の症状が続く子どももいるため、幼児期からのサポートが必要になります。

幼児期の吃音3つの特徴

幼児期の吃音には、次の3つの特徴があります。

  • 音の繰り返しが多い
  • 症状の波がある
  • 症状への自覚は少ない

音の繰り返しが多い

「ぼ、ぼ、ぼくね」のように、はじめの音を繰り返して言います。

症状が進展してくると、はじめの音が出にくくなるブロックの症状が出ることもあります。

症状に波がある

吃音の症状が強く出る時期と、症状がほとんどない時期があります。

症状には波があって、治ったと思ってもまた吃音の症状が出ることもあります。

幼児期の吃音は、症状が強まったり、改善したりを繰り返します。

症状への自覚は少ない

子どもはまだ自分の症状に気づいていなかったり、気にしていないことが多いです。

初期の症状は、音の繰り返しがほとんどなので、幼い頃は自分ではほとんど気にならないのです。

しかし、家族やお友達から指摘されるなどすると、自分のお話の仕方を気にしてしまうこともあります。

症状が進展すると、はじめの音が出にくくなるブロックの症状が出てくることがあります。

だいたい年長さん〜小学生低学年になると、音のくり返しやことばの出にくさへの自覚が徐々に生まれてきます。

自分の症状を不安に思ったり、話すことが怖くなってしまうこともあるので、心理的なサポートも大切になります。

吃音が生じる原因

吃音の原因はまだ分かっていません。

吃音の相談を受けるとき、保護者の方は「普段の接し方がわるかったかも、、」と不安になられていることが多いです。

しかし、親の態度や厳しいしつけが原因で吃音になるわけではありません。

現在主流の考え方は、人には吃音になりやすい体質があり、そこに環境要因が重なって、吃音が発症すると考えられています。

吃音の遺伝

吃音の遺伝についてもよく相談を受けます。

吃音自体が遺伝することはありませんが、吃音になりやすい体質が遺伝することはあるようです。

しかし、親が吃音だからといって、子どもも必ず吃音になるわけではありません。

吃音のある子のサポート

幼児期の吃音は自然に治ることも多いです。

しかし、成長しても吃音の症状が残る子もいるので、吃音や吃音に似た症状のある子にはサポートが必要です。

話し方の修正はしない

幼児期の場合、話し方のアドバイスや、話し方の練習を行うにはまだ早いです。

話し方について指摘しすぎると、おしゃべり自体がイヤになってしまう可能性があります。

幼児期はことばの発達している時期ですので、話すことがプレッシャーになるとことばの発達にも影響してしまいます。

「おちついて」「ゆっくり話して」「もう一回言って」などのアドバイスは逆効果ですのでしないようにしましょう。

周囲の接し方と、環境調整が大切

子どもの話し方を変えさせようとするのではなく、周囲の接し方や環境を適切にすることが大切です。

  • 子どもが話している時に急かさず最後まで聴く
  • 吃音の症状ではなく、子どもが話している内容をしっかりと聞く
  • 吃音の症状があったとしても、修正せずありのまま受け入れる
  • 兄弟や友達が、話し方についてからかっている様子がないか気を配る
  • 幼稚園の先生にも理解を求め、からかいがあったら注意してもらう

幼児期の子どもはお話ししたいこともたくさんあります。

話し方ばかりに気を取られず、お話ししたい内容をしっかり聞いてあげることが大切です。

また、吃音があったとしても良いんだよと親が受け入れてあげることがとても重要です。

友達からのからかいがある場合、幼稚園の先生に吃音について説明して、できるだけからかいを止めてもらうようにしましょう。

幼稚園や学校生活に向けたサポートを

吃音の自覚が生まれる時期になったら、吃音についての心理的なサポートも大切になります。

特に小学校では、授業の号令や、授業中の発言、発表、係活動など、他の生徒の前で話す場面も増えていきます。

吃音の症状があると、自分の話し方について不安になったり、話すことが怖くなったりしてしまうことがあります。

吃音のある子どもは、家族、教師、専門家によるサポートが必要です。

オンライン講座「子どもの吃音」と個別相談。吃音は治るの?言語聴覚士が解説

まとめ・終わりに

幼児期の吃音の症状やサポート方法について紹介しました。

幼児期の吃音は自然に治ることも多いのですが、症状が残る場合もあります。

KIZUKIは言語聴覚士によることばの教室です

吃音の症状は複雑で、周囲のサポートが必要な状態です。

KIZUKIでは、言語聴覚士による吃音のお子さまへのセラピー・ことばのレッスンも行っています。

吃音について学び、話し合いながら、吃音の症状が出た時への対処法を一緒に考えたり、吃音の出にくい話し方の練習をしたりしています。

お子さまの吃音について気になったらご相談くださいね。