話す時に目が合わない子どもは自閉症など発達障害の可能性?1歳〜2歳に分かる症状
子供に話しかけても目を合わせないのは、発達障害の特徴というのはホントでしょうか?
赤ちゃんの視力の発達と、目が合わない時に考えられる原因や接し方について言語聴覚士が解説します。
アイコンタクトとは?チェックリスト
アイコンタクトとは、視線と視線を合わせることを言います。
まずは、子供がアイコンタクトをできているかチェックしてみましょう
- 子どもに話しかけても別の方を向いている
- あまり目が合わない気がする
- 大人から視線を合わせても逸らそうとする
- 目は合うが、すぐに逸らしてしまう(3秒以下)
- じっと顔をみてくるが視線が合わない
- 人の区別がついていないように見える(人見知りしない)
当てはまるものはありましたか?
最後の二つは、もしかしたら顔をじっと見つめていても、ただなんとなく見ているだけで人の顔や表情として認知していない状態かもしれません。
人と会話をする時には、相手の顔をみてコミュニケーションの意思を伝え、表情を読み取る力が必要です。
通常、アイコンタクトは誰かに教えてもらうわけではなく、自然な成長過程でできるようになります。
しかし、なかには自然に人の目を見ることができず、接していて「なんだか目が合いにくいな」と感じるお子さんもいます。
子どもの目の動きの発達と、アイコンタクトができない原因について、詳しく解説していきます。
目によるコミュニケーションの発達
赤ちゃんは、いつアイコンタクトできるようになるのでしょうか?
まずは赤ちゃんの視力や視線の動きとコミュニケーションの発達について簡単に説明します。
生まれたばかりの赤ちゃん
新生児期の赤ちゃんは、まだはっきりと目が見えていない状態です。
明るさや暗さは分かるので、人や物はぼんやりとした影のように見えています。
声は聞き分けることができるので、ママやパパは声から認識できるようになっていきます。
生後3ヶ月、首のすわる時期
生後3ヶ月ごろ、動くものを目で追うようになります。
首がすわり、首を左右に動かせるようになり、動くものを目で追えるようになります(追視)。
色も認識できるようになってきます。
あやすと顔をみて笑顔を見せてくれたりします。
生後6ヶ月、お座りする時期
生後6ヶ月ごろ、人の顔に興味が生まれてきます。
お座りできるようになり、寝ていた時よりも視線の位置が上がります。
周囲への関心が高まり、人の顔や表情をじっと見たり、ママを探して目で追ったりするようになります。
ママやパパなど人の顔の区別もつくようになります。
この時期に、人見知りが始まる子もいます。
赤ちゃんの頃は目が合わなくても普通!
発達には個人差があります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ視力も発達していないため、目が合わないのは普通のことです。
特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんと目が合わなくても、過剰に心配する必要はありません。
アイコンタクトができないのはなぜ?
では、子どもが一歳をすぎてもやはり目が合いにくい時、どのような理由があるのでしょうか?
書籍などを見ると、目が合わないのは自閉症スペクトラムなど発達障害の特徴の一つと書かれていたりして、心配になってしまいますよね。
実際には、目が合わなくても発達障害ではない場合も多いです。
目が合いにくい時に考えられる原因を紹介します。
- 他のものに気を取られている
- 認知の発達の遅れ
- アイコンタクトの必要性に気づいていない
- アイコンタクトでストレスや不快感を感じる
- 視力など目の問題
他のものに気を取られている
子どもの興味は移り変わりやすいのが普通です。
話しかけていても、視界に別のものが見えたり、気になるものがあると、そちらをきょろきょろ見たりします。
アイコンタクトができないのではなく、単に注意が別のものに向いているだけかもしれません。
認知の発達の遅れ
子どもの発達には個人差が大きいです。
発達の目安はあくまで目安、体や心の発達のスピードはそれぞれ異なります。
認知の発達が遅いと、家族やお友達の顔を覚えて区別できなかったり、顔や表情への興味が他の子どもより少なかったりします。
相手の顔を見て、表情を認知する能力の発達が、アイコンタクトやコミュニケーションに影響している可能性があります。
アイコンタクトの必要性に気づいていない
目を合わせる必要性がないから、アイコンタクトをしないのかもしれません。
話す時に相手の目を見て伝える大切さが、自然にはわからない場合があります。
このような場合、目を見るのが嫌で目を合わせないわけではないため、目を見る練習をしたり目を合わせることを習慣づけていくことも必要です。
アイコンタクトでストレスや不快感を感じる
相手の目を見ることで、ストレスや不快感、恐怖心を感じる子もいます。
ある研究では、アイコンタクトを避けるのは、目を合わせる時に脳の特定部位が反応して不快感を感じることを避けるためであるという報告もあります。
他人の目を見ることでストレスを感じている子の場合には、不安な気持ちを強めてしまうため、無理に目を合わせるようなアイコンタクトの練習はするべきではありません。
視力など目の問題
視力の問題(弱視)や、斜視など、目の問題が隠れている場合があります。
ただ目が合わないだけではなく、次のような様子はありませんか?
- 動くものを目で追わない
- 視線が定まらずきょろきょろしている
- 常に近づいてみようとする
- 頭を傾けてものを見ている
- 光を異常に眩しがる
- 目を細めたり、片目を瞑るくせがある
- 片方の目を隠すと嫌がる
- 目が揺れているように見える
このような様子がある場合、まずは眼科で相談するようにしましょう。
自閉症スペクトラムの症状との関連について
目が合わない=発達障害ではありませんが、自閉症スペクトラムの症状の一つとして目が合いにくい場合があります。
自閉症の子どもは、先ほど紹介した認知の発達が遅れたり、人への興味や社会性が少なかったりします。
アイコンタクトできない原因は子どもによって異なります。
社会性や認知の発達が遅れているから目を見ないのかもしれませんし、目を見ることで不快感を感じるためアイコンタクトできず、結果的にコミュニケーションや表情の理解などにも影響が出るのかもしれません。
3歳を過ぎて発達障害を診断されてから、思い返せば1歳〜2歳の頃から目が合いにくかったと感じることもあります。
しかし、“目が合わないから発達障害”とか、”目が合うから発達障害じゃない”という判断はできません。
子どもの目の動きだけではなく、行動やコミュニケーションの様子から総合的に判断する必要があります。
アイコンタクトの練習は必要?
目を合わせることも、大切なコミュニケーションの一つです。
アイコンタクトができない時には様々な原因があると紹介しました。
アイコンタクトができない場合、練習した方が良いのでしょうか?
もし目を見ることで子どもがストレスや不快感、恐怖心を感じているとしたら、無理に目を合わせたり練習をしない方が良い場合もあります。
おすすめの練習方法
もし、ただ目を見る習慣がなかったり、目をみることの必要性が分かっていないだけの場合は、お話する時には目を見るという習慣付けを行っていくのも効果的です。
効果的な改善方法を紹介します。
子どもが何かを欲しがっている時に、目を合わせてから手渡しましょう。
- 子どもが車のおもちゃに手を伸ばしている
- おもちゃを取って手渡す前に、自分(保護者の方)の顔の横に持ってきて子どもの視線を顔に誘導する
- 子どもの目を見て「くるま?」と聞きます(子どもの注意をひく)。
- 目があったら、すぐに手渡しましょう。
このように、要求の時に相手の目を見るという行動を習慣つけていくのがおすすめです。
心配になったら相談しましょう
子どもと視線が合いにくかったり、目を合わせてやりとりができないと心配になってしまいますよね。
目が合わないだけで、言葉やコミュニケーションの発達が正常な場合は、過剰に心配する必要はありません。
しかし、例えば発語が遅いとか、他にも気になる様子があれば、言語聴覚士などの専門家に相談することがおすすめです。
総合的な発達や行動の様子からアドバイスをもらったり、必要な支援を行うことができます。
まとめ・終わりに
今回は、子どものアイコンタクトと視線の動きの発達、目が合わない時の原因と接し方について言語聴覚士が解説しました。
目を合わせることは大切なコミュニケーションの一つですが、もし子どもが不快感を感じている場合は無理に目を合わせても不安が増すだけです。
目の動きだけではなく、子どもの様子をしっかりと観察して、気持ちを理解してあげることが大切です。
KIZUKIは言語聴覚士による発達支援とことばの教室です
ことば発達セラピーKIZUKIでは、言語聴覚士による個別のことばのレッスンを行っています。
目が合いにくかったり、人とのコミュニケーションがまだ上手にできないお子さんの発達についてもどうぞお気軽にご相談くださいね。