子どもが「さ行」を言えない時の原因とは?「さ」が「た」などになる時の練習方法
子どもが「さしすせそ」をうまく言えないのには、原因があるのでしょうか?
さ行が、た行やしゃ行など別の音になる時に考えられる原因と練習方法について紹介します。
さ行の誤り方による原因を紹介
さ行が言えないといっても、子どもによって様々な状態があります。
よくあるさ行の言い間違いについて紹介していきます。
「さ行」が「た行」「しゃ行」に聞こえる場合
「さかな」が「たかな」「しゃかな」となったりする場合、赤ちゃんことばの名残であることが多いです。
「さ」という音の発音が難しいので、「た」「しゃ」など簡単な音に置き換えて発音している状態です。
さ行は舌と歯茎の部分で[S]音を出して発音する音です。
- 「た」になる場合は、舌に力が入りすぎてしまっています。
- 「しゃ」になる場合は、歯茎ではなく歯茎より奥の部分で発音しています。
自然に治る場合も多いのですが、中には5歳をすぎても発音の仕方のくせが残ってしまう場合もあります。
自然に治らない場合を構音障害と言います。
「さ行」が「あ行」に聞こえる場合
「さかな」が「あかな」となるように、さ行の子音が聞こえず母音に聞こえる場合について説明します。
次の2つの可能性が考えられます。
- 「さ行」が言いにくいので、単に子音を省略して言っている
- さ行を舌の先で発音できずに、喉の奥で発音するくせがついている
1つ目は、先ほどの「さ行」が「た行」「しゃ行」になるのと同じように、うまく発音できないのが原因です。
さ行を発音できない時、「た」「しゃ」など言いやすい音に置き換えていう子もいますし、子音を省略して言う子もいます。
2つ目は、さ行を発音するときに間違った発声方法のくせがついている状態です。
さ行は舌の先と歯茎のあたりで発音する音ですが、喉の奥で咳払いのように発音してしまう場合があります。
これを、声門破裂音と言ったりします。
聞こえ方の特徴として、「さ」が「あ」に近い音に聞こえます。
「し」が、「ひ」に近い音に聞こえる場合
「し」が「ひ」に近い音に聞こえる時には、側音化構音の可能性があります。
側音化構音では、発音するときの息が口の片側から出るために生じます。
「し」の他にも、「き」「ち」「じ」などの音も側音化構音になりやすいです。
側音化構音については、次のページをご参照ください。
さ行は日本語の中でも難しい音
「さかな」を「たかな」や「しゃかな」というような、子どもの赤ちゃんことばって聞いていて可愛いですよね。
でも、なかなか正しい音が言えないと、発音について気になってしまうこともありますよね。
まだ心配いらない”赤ちゃんことば”の可能性
日本語には簡単に発音できる音と、発音が難しい音があります。
「さ行」は、日本語の中でも発音が比較的難しい音です。
「さしすせそ」は早い子だと3歳頃に言えるようになる子もいますが、5〜6歳頃になるまで発音できない子もいます。
誤った発音が”くせ”として残ってしまうことも
赤ちゃんことばが自然に治らず、誤った発音が残ってしまうことを「構音障害」と言います。
障害といっても、構音訓練(発音の練習)によって多くの場合は改善しますので、心配しすぎないでくださいね。
自然には治りにくい発音のくせがついている場合は、定期的な構音訓練が必要になります。
ことばの遅かった子は発音の発達もゆっくり
初語(発語)が遅かった子は、スタートがゆっくりであるためことばの発達もゆっくりになることが多いです。
発音(構音)もことばの発達に伴って発達していくため、ことばの遅かった子はすべての音を正しく言えるようになるのも普通よりゆっくりだったりします。
構音訓練(発音の練習)は、ことばの発達の妨げになることがあるので、開始時は慎重に判断する必要があります。
さ行の練習方法
4歳をすぎても「さしすせそ」がうまく言えない場合は、練習の必要な状態かもしれません。
また、側音化構音などの発音のくせがついている場合は、それより早く指導を開始した方が良い場合もあります。
さ行の練習は舌の力を抜くことから
さ行が言えない子のほとんどは、舌に力が入りすぎていることが多いです。
「さ」を言うときには、舌の先と歯茎で摩擦音(風の音)を出して発音するのですが、舌に力が入りすぎていると、「た」になってしまいます。
まずは、舌の力を抜く練習が大切です。
お子さんに「ベー」と舌を出してみてもらってください。
舌がとんがっていたり、舌が真っ直ぐに出せていなかったら、舌に力が入りすぎています。
まずは、力を抜いたやわらかい舌の出し方を練習する必要があります。
さ行の練習の流れ
- 舌の力をぬく練習
- 舌を出して風の音を出す練習
- 風の音に続けて「う」を言い、「す」の音を導く
- 「す」に続けて別の音をいう練習
- 「す」のつく単語の練習
- 「す」のつく文章の練習
KIZUKIでは、このような流れで発音の練習を行っています。
さ行は「す」から練習し、言えるようになったら「さ」「そ」「せ」「し」を練習するようにしています。
インターネットや本などで、発音の練習方法を紹介されていることがありますよね。
道具を使った練習は余計に力が入ったり、変なくせがついてしまうことがありますので、あまりおすすめしていません。
まとめ・終わりに
今回の記事では、さ行が言えない時に考えられる原因を紹介しました。
多くの場合は心配いらないのですが、早めに修正した方が良い場合もあります。
自然に治るものかどうか自分では判断が難しいので、言語聴覚士などの専門家に相談するようにしてください。
KIZUKIは言語聴覚士による個別ことばの教室です
KIZUKIでは、国家資格・言語聴覚士による定期的な構音訓練(発音の練習)を行っております。
言えない音がある、滑舌がわるい、発音が気になる、といったお悩みもお気軽にご相談くださいね。