発語が遅い時の原因。2歳〜3歳で発語がない子の言葉の促し方。発達障害の可能性は?
子どもの発語の時期には個人差が大きいです。
1歳半を過ぎても赤ちゃんが喋らないと、心配になりますよね。
今回の記事では、発語が遅い時に考えられる原因と、チェックすべきポイント、発語の促し方について、言語聴覚士が解説します。
ことばの遅れとは
一言でことばの遅れと言っても、次のような様々な状態があります。
- 発語がない
- 発語の数が増えない
- 2語文や3語文にならない
- 発音が聞き取りにくい、言えない音がある
発語とは、意味を伴ったことばのことを言います。
今回の記事では1〜3の、ことばの発達自体がゆっくりな場合の原因について説明します。
4の、お話しているけれど発音が聞き取りにくかったり、言えない音があるという場合は、発音についてのページをご参照ください。
発語の時期は何歳ごろが目安?
ことばの発達には個人差がありますが、初めての発語(初語)が出るのは1歳前後ぐらいの時期が多いです。
自治体の一歳半健診でも、ことばの理解やコミュニケーションについてもチェックされています。
健診でことばについての指摘を受けて、言語発達がゆっくりなことに気づくこともあります。
2歳になっても初語がなかったり、2〜3歳になっても発語の数があまり増えない場合は、何らかの支援が必要な状態かもしれません。
ことばを話すために必要な土台
ことばの発達のスピードは個人差が大きいです。
成長に伴ってことばの発達も追いつく場合も多いのですが、何らかの問題があって早期からの療育や専門家によるサポートが必要な場合もあります。
ことばは、次の4つの力を土台として言えるようになります。
- 耳で聴いて理解する力
- 知的な発達
- 口や舌など、口の周りの筋肉の発達
- 人とやりとりする力
これらの発達が遅れていると、発語に影響することがあります。
耳で聴いて理解する力
ことばは耳で聞いて覚えていきます。
生活の中で音への反応はあったとしても、小さい音は聞こえているか、高い音や低い音は聞こえているか、左右差はあるか、など細かい聴力については調べないと分かりません。
もし聴力に問題がある場合は、発語や発音にも影響してしまいます。
子どもの発語が遅い時には聴力の問題が隠れている場合もあるので、聴力について気になったらまずは小児難聴を診ることのできる耳鼻咽喉科で相談しましょう。
知的な発達
ことばを話すためには、知能の発達も不可欠です。
例えば「ごはん」とお話するためには、いつも食べている食事に名前があることに気付いて、「ごはん」という言葉を覚えて、適切なタイミングで使わなければいけません。
ものに名前があるということに気付いて、それぞれの名称を暗記して使うって、考えてみれば難しいことですよね。
知的発達のスピードには個人差がありますので、知的発達が遅れているためにことばが遅れている可能性があります。
口の周りの筋肉の発達
ことばを話すためには、口や舌の動きをうまくコントロールして発音する必要があります。
赤ちゃんのうちから、成長に伴って徐々に口や舌をうまく使えるようになり、それがことばを話すための練習になっています。
お子さんに次のような様子はありませんか?
- よだれが多い
- 硬いものを食べられない
- 食事に時間がかかる
- うまくストローを使えない
- 頬をふくらませられない
- 飴をすぐに噛んでしまう など
もしかしたら、口の中の筋肉の発達が不十分で、なめらかに口を動かしにくい状態かもしれません。
人とやりとりする力
子どもは周囲の人との関わりの中で、ことばを話せるようになっていきます。
人への興味が薄いと、ことばの発達が遅れることがあります。
特に、自閉症スペクトラムなどの発達障害があると、周囲の人や物への興味が通常より少なくなったり、興味が限定的になったりします。
人や物への興味が少ないと、人とのやりとりが減って、ことばの遅れにつながります。
発語が遅れている時には、ことばだけではなく、人とやりとりする力の発達についてもチェックして、もし発達障害がある場合は早期に見つけてあげることが大切です。
ことばの遅れは発達障害?
発語がない=発達障害ではありません。
しかし、発語が遅れたり、ことばの発達が遅れる原因の1つに発達障害があります。
自閉症スペクトラムなどの発達障害があると、先ほど紹介した原因の1つの「人とやりとりする力」にも影響が出ることがあり、ことばの遅れにつながるためです。
人とやりとりする力のことを、社会性の発達とも言います。
表面上のことばの遅れから、発達障害に気づく場合も多いため、お子さまのことばについて気になったらまずは言語聴覚士などの専門家に相談しましょう。
発語の遅れについて相談にいらっしゃって、発達障害があることが分かった例もあります。
発語を促す遊びと関わり方
2歳を過ぎても発語がないと、心配になりますよね。
発語を促すための関わり方や遊びを紹介します。
話しかけ方の工夫
ことばの相談にいくと、「たくさん話しかけてあげましょう」「ことばのシャワーを浴びせましょう」とアドバイスをもらうことが多いようです。
しかし、これはただ一日中ことばを話しかけ続ければ良いというわけではありません。
理解できない外国語のラジオを一日中つけていても、BGMのようになってしまうのと一緒です。
子どもにとって分かりやすいタイミング・分かりやすい話し方で、話しかける必要があります。
また、一方的に話しかけるだけではなく、子どもの発信を見逃さない相互的なやりとりが大切です。
話しかけ方、関わり方の工夫については次のページをご参照ください。
ことばの発達を促す遊び
子どもは、遊びの中で大人とやりとりしながら、ことばを覚えていきます。
ことばはお勉強のように教えるよりも、遊びの中で使うのがおすすめです。
次の3つの遊びを取り入れてみましょう。
- 体を使った遊び
- 人とやりとりする遊び
- 口や舌の筋肉を発達させる遊び
ことばを話すには、体の発達・口や舌の筋肉の発達が土台となります。
ことばばかりに気を取られず、体を使って大きく遊ぶなかで、体の筋肉も発達し上手に動きをコントロールできるようになっていきます。
また、遊びの中で人とやりとりをする経験を積むことも必要です。
テレビや動画ばかりでなく、人と一緒に関わり遊ぶ時間を多く作りましょう。
口の筋肉を発達させて発語を促す遊びの例については次のページをご参照ください。
言語聴覚士に相談しましょう
お子さまの発語について少しでも心配になったら、ことばの発達の専門家である言語聴覚士に早めに相談してみるのがおすすめです。
発語が遅い時に考えられる原因は子供によって様々であり、どこでつまづいているのか専門家にチェックしてもらいましょう。
お子さまに合わせて、発語を促すためのアドバイスや、定期的なことばのレッスンを行うことができます。
まとめ・終わりに
今回は、子どもの発語の時期と、遅れの原因、発語の促し方について紹介しました。
子どもの発語が遅い時には、様々な原因が考えられます。
まずは言語聴覚士などの専門家に相談するのがおすすめです。
KIZUKIは言語聴覚士による発達支援とことばの教室です
KIZUKIでは、言語聴覚士による個別のことばのレッスンを実施しています。
お子さまのことばについて気になったら、どうぞお気軽にご相談くださいね。